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一言

「アニマトリックス(日本語版)」観了
英語版は既に観ていたが、
日本語版はこれが初。
やはり日本語の方がしっくり来る。


[ヘッドショット撮影の仕組み]
9月30日(火)18:21


ヘッドショット(顔写真)の撮影を頼む写真家、
「アラン・ウェイズマン」のスタジオに電話をして、撮影の予約を入れた。

料金は、フィルム2本(72枚)で360$+税

完全デジタルカラー撮影で、

フィルム1本目(36枚)は「映画用」のヘッドショット撮影
フィルム2本目(36枚)は「コマーシャル用」のヘッドショット撮影

となっているらしい。

フィルム3本目(36枚)は、「キャラクター用のヘッドショット撮影」と言って、
自分のキャラクターを全面に押し出した写真を撮る事ができるのだが、
それを撮る場合は120$の追加料金が掛かる。

俺は「コマーシャル用」のヘッドショットはいらないので、
それをキャンセルして、代わりに「キャラクター用」を入れて貰った。


撮影中は、大きなモニターで撮ったばかりの写真を自分で確認でき、
いらない写真は消す事ができるらしい。
つまり、72枚の中に気に入った写真のみを残す事ができるってわけだ。

この72枚の中から更に一枚を選択すると、それがデジタル修正に直送され、
そこで修正が施された後に印刷されて、俳優の手に渡る。


流れとしては、こうなる。


ヘッドショット撮影

 ↓  (3、4日後)

全写真の小さなサンプル画像を見る事のできる「プルーフシート」が貰える。

 ↓  (?日後)

プルーフシートの中から1枚選択し、注文する。

 ↓  (即日)

注文した写真が、デジタル修正に送られる

 ↓  (約1週間後)

デジタル修正の済んだ画像が、写真家の元に戻る

 ↓  (?日後)

写真家が、デジタル修正の済んだ画像を
50枚のヘッドショットとして印刷し、俳優に手渡す。



結構な時間が掛かるので、早め早めに行動したい。

本当は木曜日に撮影したかったのだが、
次に開いているのは金曜(三日後)の朝、11時からだったので、そこを予約した。

さあ、今度は「衣装」を探さなきゃ。

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一言

「影武者」観了
上映時間三時間の長い映画だ。
殺陣(たて)のシーンは皆無だったけど、
楽しんで見る事ができた。
時代劇は勉強になる。


[声すら届かないならば]
9月29日(月)25:20


早朝、週が明けたので、ヘッドショット(顔写真)撮影を頼む写真家として
第一希望に挙げていた「マーク・ヒューズマン」のオフィスに電話を入れ、
機械応答に自分の電話番号を残し、向こうから掛け直して来るのを待った。

・・・だが、待てど暮らせど何の返事も無い。

これで三度目の電話なのに、向こうからの連絡が一つも無いとはどういう事だ?

もう我慢の限界、この写真家は駄目だ。
信用できない人には頼めない。


第二希望の「アラン・ウェイズマン」に決める事にした。


明日の朝、予約を入れる事にするが、
できれば実際に撮影するのは木曜日(三日後)がいい。

というのも、撮影に入る前に、
今回のヘッドショット撮影に使う「衣装」を借りに行きたいからだ。


今回、俺は二種類のヘッドショットを撮ろうと思っている。

 一つは、「黒のタキシード」を着こなしたヘッドショット。

 一つは、「カジュアルな服」を着たヘッドショット。

でもその「黒のタキシード」を持っていないので、借りる必要があるんだ。


今 手元にある出来の悪いヘッドショットでは、
オーディションに応募する気がイマイチ沸かない。

応募しても、弾かれるのが目に見えているからだ。

・・・一刻も早く、新しいヘッドショットの入手を急がねば。

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一言

「イースト・ミーツ・ウエスト」観了
昔に一度観ているので、
これで二度目になる。
真田博之・竹中直人 というキャストを使っての
時代劇+西部劇という映画なのだが、
期待していたほど殺陣(たて)のシーンは無かった。


[少し遅れた祝いの日]
9月28日(日)25:50


少し過ぎてしまったが、
親友のチカコ&デイビッド夫妻が俺の誕生日を祝って、
「タイ料理店」へ連れて行ってくれる事となった。


車を走らせて、着いた先はここ。

 (クリックで拡大)

結構遅い時間なのだが、店の中は人で一杯だ。


席について、注文を取る。

さて、何にしようかな・・・?

タイ料理は基本的に何でも美味しいので好きなのだが、
中でも一番のお気に入りは、「パッタイ」と呼ばれる麺料理だ。
米粉を使って作られたこの麺はモチモチしていて、とても美味しい。

結局、三人で注文したのは

「パッタイ(麺料理)」二皿、
「炒飯」一皿
「鴨ラーメン」一皿
「豚焼肉」一皿
「白御飯」三杯

そして、
「タイティー(飲み物)」三つ


待つ事20分。いよいよ料理が運ばれて来た。

 (クリックで拡大)

どの料理も、美味いったら無い!
みるみるうちに消えていった。


 (クリックで拡大)

ぷはー。食った食った。ごちそうさまでした!


舞台劇「デッドライン」が終わってダレダレだったけど、
これでまた頑張れそうだ。

よっしゃ、明日からは気合入れて行くぞ。

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一言

サイトのアクセス数が10万に到達!
100000を踏んだのは、
なんと美和子ちゃん(母親)でした。


[陽炎のように消えた日]
9月27日(土)30:35


相変わらず疲れが取れない。
・・・こうなったら、寝て、寝て、寝まくってやる。

そう決めて、寝床に入った。



どれぐらい時間が経っただろう。

むっくり起き上がると、外は暗い。
時計は9時を指している。

外が暗くて、9時。・・・まさか夜の9時?

その「まさか」だった。
なんと15時間も寝ていた計算になる。

良く15時間も眠れたもんだ。


1日消えたようにも感じるが、
疲れは取れたようなので、これで良しとしよう。

たまには、こんな日もあっていいさ。

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一言

結構長い事、連続して更新が続いている。
これからしばらくは、
決まった仕事(デッドラインとか)が無いので、
糸が途切れる可能性が十分にある。

だが、できるだけ日記を続けようと思う。
それが自分の為になるような気がするんだ。


[運命の写真家を選べ]
9月26日(金)30:21


流石に昨日の今日で、疲れが取れない。

本当はゆっくりしていたいんだけど、一つでも前に進みたかった。
ヘッドショット(顔写真)を撮って貰う「プロの写真家」を、とうとう2つに絞ったんだ。


第一希望は、「マーク・ヒューズマン」という写真家だ。

この人は、俺がヘッドショットの印刷を注文した印刷屋「リプロダクション」が
広報に使っている「サンプル写真」を撮った写真家で、
照明を上手く使った彼の写真は、俳優の表情を魅力的に捕らえている。


第二希望は、「アラン・ウェイズマン」という写真家だ。

この人は、俺のヘッドショットのデジタル修正を手掛けた友人が担当している写真家で、
メル・ギブソンなど、超大物俳優の撮影を手掛けていたりする。


どうしてこの二人に絞ったかと言うと、そこには大きな理由が3つ存在する。

「完全デジタル撮影を行う事」
「フルカラー撮影を行う事」
そして、
「魅力的な写真を撮る事」


現在、第一希望の「マーク・ヒューズマン」と連絡をとる為、
彼の留守電にメッセージを残したのだが、まだ連絡が無い。

時間が惜しいので、
月曜まで待って連絡が無い時は、第二希望の「アラン・ウェイズマン」にしようと思う。

少しでもいい、前へ進もう。

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[そして、その日はやって来た!]
9月25日(木)30:20


・・・とうとうやって来た。
今日は、舞台劇「デッドライン」の最終公演だ!

いつものように、開演2時間半前の5時半にシアター劇場に入ると、
なんと、準備の方は既に半分ほど終わっていた。

随分と早いなぁ。
ショーン(クリスの息子)が一人でやったのかな?


ユウキ「ショーン、準備は大方終わってるんだね。」

ショーン「ああ、ダーンと俺と親父が早くから来て、準備をしてたからね。」

おお、ダーン(プロデューサー)が頑張ったのか。
やはり、最後の舞台だけあって、気合が入ってるね!


ダーンによると、今日の舞台には70席分の予約が入っているらしい。
・・・70は凄いぞ!

だが、大きな問題が一つ

B劇場には席が50しか無い・・・。
このままでは、予約をしたのに劇場に入れない人が出てしまう。

でも、ダーンは心配してなさそうだ。

ダーン「初日の舞台には、68席分の予約があった。
     でも、実際に来たのは半分だった。
     だから、もう定員で切るのは止めにしたんだ。」


万が一の事を考え、応急処置として開いたスペースに椅子を置いて席を足す事にした。

 (クリックで拡大)


これで定員は64人に増えた。
心配するのは止めて、心置きなく準備を手伝おう!


足場を動かしたり、机を運んだりという、
大道具の準備は終わっているので、小道具の準備を手伝う事にした。


今日の舞台で小道具として使う料理は何かな?

今日は、

 (クリックで拡大)

ラーメンに、酢豚。何ともシンプルじゃないですか。


お椀の横にある白いトレイに入ったタイ料理は、
他のキャストが買って来た物で、小道具じゃない。

量がハンパじゃなく多かったので、
食べきれない分を俺が「リサイクル」しているのだ・・・



開演20分前となった。

キャスト達は皆、既に衣装に着替えている。

最後の舞台という事で、今日は気合の入れ方が違うわけだが、
みんなハイテンションになっているかというと、そうでもない。


リラックスしていたり、

 (クリックで拡大)


準備運動をしていたり、

 (クリックで拡大)


かと思えば、ピタッと動きを止めて宙を見つめ、
気を集中させて、心を落ち付けたり。

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

心の中は、期待と不安で一杯なのだろう。



開演10分前になった。


みんな いよいよ落ち付きが無くなり、ウロウロしている。
そこにレブリー(助監督)が現れた。

レブリー「みんな、ちょっと聞いてね。
      2つのニュースがあります。
      1つは良いニュース。
      1つは悪いニュース。

      良いニュースは、今の時点で64席、全て埋まりました。
      ・・・そう、満席です!」


よし!満席だ!最後の舞台に満席だ!・・・でも、悪いニュースって?


レブリー「・・・悪いニュースは、
      50人の定員を超えて人を入れた為、
      消防法で定められている通り、
      冷房のスイッチを入れなければなりません。」


これにはクリス(監督)がうめいた。

この冷房は、確かに涼しくはなるものの、音がやたらデカく、
後方の席では声が聞こえなくなってしまう場合があるんだ。


レブリー「・・・だからみんな、
      今日は声を特に大きく、ハッキリと喋って。
      大丈夫。みんなならできる。信じてる。」


キャスト達は頷いた。そこにクリス(監督)が言った

クリス「・・・みんな、ちょっと集まってくれ。気合を入れよう。」


 (クリックで拡大)

クリス「・・・とうとうこの日がやってきた。
    気合は十分。あとは思いきり楽しもう!」

それぞれに握手を交し、「頑張ろうぜ!」とお互いを励ました。

心を一つに。集中、集中だ。



開演5分前。

控え室の室内灯は消され、白熱電球の白い明かりだけが残った。

 (クリックで拡大)

舞台上に出たら、誰も助けてくれない。全ては自分に掛かっている。
これは自分との戦いなんだ。



一時の無言の空間が過ぎ、・・・・いよいよ開演!



クリス(監督)の合図で、
ダーン(プロデューサー)とカーリー(熟年俳優)が舞台上へと向かう。

・・・クリスはその背中を、祈るような目で見つめていた。

今日のカーリー(熟年俳優)は、いつもと違って声に張りがあり、
セリフもちゃんと出ていた。

クリス「・・・よし。行くぞ、みんな。」

大丈夫、落ちついて。


あとは、水が流れるようにストーリーが進んだ。

セリフが飛ぶシーンがいくつかあったものの、
声はしっかり出ていたし、決めるべき所はビシッと決まった。


・・・そして、とうとう最後のシーンが終わった!


客席では、割れんばかりの拍手が沸いている。

カーテンコールが始まると、その音は一層大きくなった。

俺が一礼をする為に舞台袖から出ていくと、
拍手に混じってまたもブーイングが!

よっしゃあ!

ブーイングは、客が俺を「悪役」と認めてくれた証拠だ。
まさか最後の舞台でも貰えるなんて。



控え室へ戻って来ると、キャスト達は晴れやかな顔でお互いの健闘を称えた。

 (クリックで拡大)

さぁ、着替えて、お客さん達に会いに行こう!
みんなで一緒にパーティーだ!


 (クリックで拡大)

今までの苦労を発散させるかのように、みんなで騒ぐ。


もしかしたら、キャスト達が揃うのはこれが最後かもしれない。
・・・今のうちに、みんなの写真を撮っておこう。


 (クリックで拡大)


・・・最初は普通に撮っていたけど、


 (クリックで拡大)


・・・段々とテンションが上がり、


 (クリックで拡大)


どかーん どかーん どかーん
ハーッハッハッハッハッハ!


 (クリックで拡大)




・・・こうして、舞台劇「デッドライン」の幕は降りた。

まだ、終わったばかりなので、自分の中ではまとめる事はできない。


とりあえず、おつかれ!クリス、ダーン!みんな!

 (クリックで拡大)

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[世界最高の決戦前夜]
9月24日(水)29:01


誕生日がやってきた。俺は22歳になった。
22歳の初仕事は、舞台劇「デッドライン」のリハーサルだ!(B


明日の公演最終日に備える為、セリフの読み通しをするんだ。

7時半にシアター劇場に集合し、キャストが全員集まるのを待った。

C劇場のリハーサル室で待っている間、
ウィー(初演技)は、またも「バーベキューリブ」を食べている。

 (クリックで拡大)


どうやら、かなり気に入ったご様子。
俺も一つ貰ったが、やっぱウマイ!そりゃウィーが気に入るわけだ。


10人ぐらい集まった所で、俺は今日が誕生日である事を明かした。

ユウキ「実は、今日、俺の誕生日なんだ。」

マーク「ええ、本当かい!友よ、おめでとう!」

みんな、それぞれに祝ってくれた。


そこに、クリス(監督)、レブリー(助監督)がやってきて、
キャストのみんなが、クリス達に今日が俺の誕生日だという事を教えた。


クリス「おお!今日だったのか。おめでとう!」

レブリー「えー、今日なの!?おめでとう!」

そこにダーン(プロデューサー)が言う。

ダーン「ユウキの誕生日のケーキには、
     「全くもって、誕生日ですな!」
     とメッセージを入れてくれよな。」

みんなが笑う。

俺の「全くもって、その通りですな。」というセリフは、
短いだけに、インパクトがあって、
キャスト達(特にショーン)は、とても気に入ってくれてるんだ。


レブリー(助監督)が残念そうに言った。

レブリー「あー、前もって言っててくれれば、ケーキを用意できたのにー。」


うぅ、ごめんなさい。隠していたわけじゃないのです。

わざと教えなかったのではなくて、
今年も最近まで自分の誕生日を忘れてたから、教えようが無かったので・・・

でも、みんなに祝ってもらって、嬉しかった。
こんな風に誕生日を祝って貰うのは、何年ぶりだろう?


さあ、そろそろリハーサルを始めよう。
明日は、いよいよ舞台の最終日なんだから!


C劇場の第2リハーサル室にキャスト達が勢ぞろいした所で、
クリス(監督)は話し始めた。

 (クリックで拡大)


クリス「さぁ、リハーサルを始めよう。
    その前に・・・・・・みんな、今日はユウキの誕生日なんだ!」

みんな一斉に俺の方を向いて、祝ってくれた。

すかさずショーンが俺の方を向くと、嬉しそうに
 「全くもって、その通りですな!」
と言った。俺もそれに
 「全くもって、その通りですな!」
と返した。


クリス「・・・さて、先週のリハーサルでの「セリフ通し」は、少し粗い印象を受けた。
    今日は、明日が最終日という事もあるので、
    「セリフ通し」じゃなくて、実際に動きたいと思う。
    このリハーサル室は狭いから、無理はしないでいいよ。」

先週の公演の事もあるし、クリスが心配するのも分かる。
誰だって、最後は完璧な舞台を演じたい。


狭いリハーサル室を使って、「最後のリハーサル」が始まった。

 (クリックで拡大)


やはり、実際に動くと緊張感が増す。
座ってセリフ通しをするのとは、全く違う。

緊張感があるのは、これが「最後のリハーサル」だからという事も勿論あるだろう。

今日間違えれば、明日も間違えるかもしれない。
そんな事を考えながら、演じているのでは無いだろうか。


こうして、「最後のリハーサル」は終わった。
あとは、明日の最終公演だけだ。

完全燃焼できるように、悔いが残らないように、演じたいと思う。



家に帰ると、俺はすぐに台所へ向かった。


ひっひっひ。自分の誕生日、自分で祝ってみせましょう。

 ・・・「世界最高の料理」と共に!


 (クリックで拡大)


おお・・・その輝き、美しい。

まさに「世界最高」の名にふさわしい。

では、今こそ祝おう!

ハッピバーーーーースデーーーーートゥーーーミーー♪
ハッピバーーーーースデーーーーートゥーーーミーー♪

ハッピバーーーーースデーーーーーディアーージブンーー♪

ハッピバーーーーースデーーーーートゥーーーミーー♪


こうして22歳の誕生日は終わった。


人は皆、誕生日に歳を重ねていくわけだが、
「誕生日」という日付を境に何か変わるわけではなく、
1年という時間を掛けて、ゆっくりと変化して行く物だと思う。

いや、もしかしたらその単位は、もっと長いのかもしれない。

22歳の朝はやって来たが、
この日記を書き始めた頃・・・18歳の時の「志」は、今も何ら変わっていない。


男ユウキ、この一年も「世界的映画俳優」を目指して猛進しますぜ!

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一言

ルームメイトが撮影した
「短編映画」に出演した。
短編映画と言っても、
ただ思いつきで撮っただけだ。
構想30分。撮影時間3時間。
照明は室内灯のみ。

コンピューターを使えば、
これで短編映画ができちゃうんだから、
凄いよなぁ


[霧煙る朝に]
9月23日(火)29:41


朝の7時ごろ、ふと外を見ると異様に空が白い。

何事かと外に出てみると、なんとあたり一面が白い霧に覆われていた。

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)


ふぇー、これは珍しい物を見た。
いつもは寝ている時間帯に、こんな霧が発生してるとは知らなかった。

さーて、朝の7時なった事だし、
お日様も大地を照らし始めるので、     もうそろそろ寝るか。



この前ヘッドショットを注文した印刷屋へ行って来たのだが、
ただ遊びに行ったわけではない。

ヘッドショット(顔写真)を撮ってくれる写真家を探しに行ったんだ。


その印刷屋、「リプロダクション」には
様々なプロの写真家のカタログが置いてあり、それを見る事ができるようになっている。

やっぱ、大金払ってプロの写真家に頼むからには、
彼等の過去に撮った写真を実際にその目で見て、
自分が信頼できる写真家を選ぶのがベストだと思ったんだ。


選ぶ・・・と言っても、並大抵の作業じゃない。

数十冊に及ぶカタログには、それぞれ数十枚の写真が収められている。
全てのカタログを一枚づつじっくり見ていたら、時間がいくらあっても足りない。


幸い、カタログごとに写真家は分かれているので、全部の写真を見る必要は無かった。

まずは、カタログの最初の数枚を見て、自分の感性に聞いてみる。

 ・・・このヘッドショットをどう思う?
 ・・・この照明をどう思う?
 ・・・この背景をどう思う?
 ・・・この色の濃淡をどう思う?
 ・・・自分が撮りたい物を撮ってくれそうか?
 ・・・この人にはプロ意識があるだろうか?

何かを感じれば、そのカタログを最後まで慎重に見るけど、
何も感じなければ、それでおしまい。もう後のページは見ない。


数百枚にも及ぶヘッドショットを見て気が付いたのは、
同じ「顔」を撮っても、写真家によって全く異なる写真になるという事。

「人の顔をどのように撮れば魅力的に見えるか」を熟知している写真家もいれば、
技術はあっても、全く魅力を感じない写真を撮る写真家もいる。


3時間掛けてカタログに目を通し、
それぞれの写真家の特徴と連絡先をしっかりメモした。

これは慎重に、慎重に選ばねばな。



こうして日記を書いている間に日付は24日へ。俺は21歳から22歳へ。

ハッピ〜〜〜〜〜〜〜バ〜     ・・・いや待った。

祝うのは明日まで取っておこう。
さーあ、明日は誕生日なので「世界で一番美味い物」を食べるぞー!

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[さぁ、ろれつを回しましょう!]
9月22日(月)23:59


ラストサムライのアフレコ(声の録音)での失敗は、
俺の滑舌(かつぜつ)が いかに悪いかという事を思い知らせてくれた。

自分でも何となく分かっていたが、特にサ行とカ行が酷い。

滑舌は役者の基本。基礎中の基礎。それがなってないとは、全く困ったもんだ。


・・・いや、「全く困ったもんだ。」で終わっては駄目だ。
滑舌が苦手なら、それを克服せねば!


俺はティッシュペーパーを一枚持って来ると、
鼻のあたりから垂らし、両頬にセロハンテープでとめた。

これで、準備は完了だ。

あとは、このティッシュペーパーを「できるだけ揺らさず」、
早口言葉を練習するべし!


 さぁ、みなさんもご一緒に!


 息継ぎ無しで言って下さいね せーの、



 この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけたのです。
 この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけたのです。
 この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけたのです。
 この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけたのです。
 この竹垣に竹立てかけたのは、竹立てかけたかったから、竹立てかけたのです。



コノタケキャキニ カテカテカテタノハ、チャキッ・・・・


・・・こいつは重症だ。



 よーし、次行ってみよう!


 今度も一息で、せーの、



 青巻紙 赤巻紙 黄巻紙 黄巻紙 赤巻紙 青巻紙 
 青巻紙 赤巻紙 黄巻紙 黄巻紙 赤巻紙 青巻紙 
 青巻紙 赤巻紙 黄巻紙 黄巻紙 赤巻紙 青巻紙 



アオマキガキ アママキガキ チマチマギ・・・


・・・くっ。どうやら、基本的な事からやり直す必要がある。


よし、決めた。これからは最低でも1日1時間は滑舌の練習をしよう。
そうすれば、きっといつか、上手く発音できるようになるはずだ。

やっぱ日本人を演ずるからには、日本語の発音ができなきゃね!

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一言

「王様と私(The King and I)」観了。
これは昔の作品で、
ミュージカルの舞台そのままだけど、
それがいい。
王様が歌う歌の楽譜を手に入れ、
練習しておこう。


[水中のプリマは坊主頭]
9月21日(日)28:00


近頃は暑く無くなってきたので、プールで泳ぐ事は殆どなくなった。

今日だって、ほら、
太陽はもうすっかり沈んでしまっていて、肌寒い。

そんな中、大家さんのジャッキーが水着姿でプールへと向かって行く。
なんでまた、こんな時に?

聞けば、ジャッキーは今年最後の「泳ぎ収め」をするらしい。

ほほぅ。それならば俺もお供しようでは無いか!


向かったプールサイドでは、冷たい風が吹きぬけていた。

 (クリックで拡大)

・・・けっこう寒そうだ。
しかし武士たるもの、水を目前にして泳がないわけにはいかないのだ!

シャツと短パン姿のまま水に飛び込んだ。

 ドッパーン



さぁ、いよいよ最後となりました。
演目は、シンクロナイズドスイミングで、「ダチョウの湖」です。


 (クリックで拡大)


・・・どうやらダチョウは泳げなかったようだ・・・


水中にいた間はちっとも寒くなかったけど、水から上がると一気に身体が冷えた。
熱いシャワーを浴びて、風邪を引かないように気を付けねば。

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一言

「椿三十郎」観了。
殺陣(たて)の迫力が物凄い作品だった。
約1時間半の本編中、
殺陣のシーンは約8分間。
この8分間を自分の物にしたい。


[巨大な夢の塊を]
9月20日(土)29:45


肉が食いたい。ああ、肉が食いたい。

いつもは「ご飯」を中心にして、おかずに、
 「納豆」(4パックで1$)
 「餃子」(50個で4$)
 「鰹節にバター醤油」
なんかを食べている。

だが、どうも味気ない。
餃子はもう過去に数百個以上食べているので美味しく感じない。


・・・肉が食べたい。ああ、一昨日食べたような、ゴツい肉が食べたい。


だが肉はとにかく値段が高い。それが大きな欠点だ。
どこか、安い肉は売って無いかな・・・・

淡い希望を抱き、近くのスーパーへ肉を探しに行くと・・・なんという事だろう。
恐ろしく巨大な肉塊が、たった「8$」で売られているではないか!


どうやら、良い時に足を運んだようだ。
喜び勇んでそれを買った。


・・・これで、たったの8$!

 (クリックで拡大)

・・・デカッ!

・・・え、そんなに大きく見えないだって?
ううむ、あまりに肉がデカ過ぎて、縮尺が狂って見えるか。

比較対象に、手を置いてみよう。
ちなみに、俺の手はかなり大きい方だ。


 (クリックで拡大)

・・・デカッ!

そして、これでたったの8$なのだ!


骨付きなので、早速骨を取り除いて小分けにした。

 (クリックで拡大)


よし。これで少なくとも16日間は肉が食える!

さーて、何を食おうかなー。夢が広がるなー。
明日は久しぶりにビーフカレーでも作ろうか。

いやぁ、肉が食えると嬉しくなってしまいますな!はっはっは

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[成功の前には常に]
9月19日(金)26:51


月曜日に印刷屋に出しておいたヘッドショット(顔写真)が完成した。
これでやっとオーディションに応募する事ができるぞ!

さて、完成品の出来映えの方は・・・・・


                     ・・・・・・これはイカン。

解像度が足りてなかったのか、どことなくボヤけている。
しかも紙に印刷したら構図や照明のつまらなさがモロに出てしまった。

クソ。マズった。
いくら上質な紙と印刷屋を揃えても、
肝心の写真の方が手抜きじゃ意味が無いじゃないか!

ヘッドショットとして100枚印刷する前に、
実物の見本として、1枚だけ印刷しておけば良かったんだ。


期待していただけに、ショックも大きい。
これじゃオーディションに胸を張って応募する事ができない。

プロの写真家に撮って貰う350$を惜しむあまり、
1ヶ月という時間と70$を無駄にしてしまった。


・・・いや、「無駄」ではない。

元々今回は実験だったんだ。
だから100枚しか印刷しなかったんだ。

今回の失敗は・・・良かった。
次回へと繋がる反省点を見出せたのだから。


今は仕方が無いので、このヘッドショットを使って応募しよう。
だが、できるだけ早くプロの写真家に本物のヘッドショットを撮って貰わなきゃ。

チャンスが目の前を逃げて行く前に、何とかしよう。

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[ザラつく舞台で]
9月18日(木)29:13


舞台劇「デッドライン」の本番三日目だ。

俺は5時半から劇場入りし、色々と準備を始めた。
足場を運んだり、机を運んだりという力仕事だけじゃなく、細かい作業もある。

例えば、舞台で使う料理の盛り付けなんかがそうだ。

ちなみに、今日のメニューは・・・

 (クリックで拡大)

ラーメン?、鶏の揚げ物?、マメ?、豚肉?の四種類。

適当に入れてるので、俺自身も何が入ってるのか良く分かってないのだ。
一応、まともな食べ物である事は保証するので、安心して欲しい。



7時ごろになって、ようやく殆どの作業は終わった。

俺を含めた数人が、5、6時から来て1時間以上の作業している反面、
7時を過ぎて悠然と現れる人もいる。

まぁ、それぞれに都合があるだろうから、それは仕方が無いのかもしれない。
だが、ウィー(初舞台)は不満顔だ。

ウィー「こっちは一生懸命働いてるのに、全く不公平だよ。
    はぁ、お腹も減ったし・・・。ユウキ、何か食い物を買いに行こう。」

ウィーに連れられ、シアター劇場を出て、とあるお店へ。

そのお店でウィーが買った物とは・・・

 (クリックで拡大)

バーベキューリブだ!

ウィーは、早くから来て作業をしている人の為に、かなりの量を買い込み、
頑張って働いてた人達に振舞った。

俺も食わせて貰ったが、これは美味い!

骨の周りについた牛肉はとても柔らかく、
ジューシーな脂身と甘いバーベキューソースが絶妙のコクを出している。

これは腹に溜まる。
よし。これで今日の舞台は頑張れそうだ。



開演まで15分を切った。

キャスト達はみんな衣装に着替えているものの、
どことなくリラックスしたムードが漂っている。

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 (クリックで拡大)

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悪い言い方をすれば、「緊張感が感じられない」とも言える。
昨日の悪い予感が当たらなければよいが・・・



そして、幕が開いた。

まずは最初のカーリー(熟年俳優)のシーン。
セリフが所々、つっかえている。

それをクリス(監督)は、神に祈るように聞いている。
両手の人差し指と中指を交差させ、天に運を任せている。

カーリーが最後のセリフを言い終えた途端、
クリスはガッツポーズと共に小声で叫んだ。

クリス「・・・よし!」

クリスが安堵の表情を浮かべた瞬間、
今度はダーン(プロデューサー)がセリフを飛ばした。

クリスの顔にサッと暗雲が立ち込める。

クリス「・・・何をやってんだ。」


やはり、昨日の悪い予感は当たってしまった。
今日の舞台はとても粗い。

セリフはポンポン飛ばすし、間違うし、他の人のセリフと被ってるし、

クリス「テンポがめちゃくちゃだ。一体どうなってんだ。」

悪い事は重なる。

照明を担当している「ランディー」のミスで、
音楽が鳴らなかったり、途切れたり、
照明が落ちる(暗くなる)べき所で落ちなかったり・・・

音楽が鳴らなかったせいで、
クリスが一人、舞台上に三分ほど取り残される事態まで発生した。



こうして、序盤はボロボロだったわけだが、
中盤から徐々に調子を取り戻し、
終盤はしっかりとまとめ、何とか無事に終わる事ができた。

・・・ふう、良かった。
もしも最後までボロボロだったら、お客さんに合わせる顔が無かった。


カーテンコールを終え、控え室へ戻ると、
どうしてなのか疲労感がドッと出た。

・・・おそらく、今日の舞台をウィー(初演技)の親戚が観に来てたからだろう。

ウィーはベトナム系アメリカ人で、彼の親戚は当然ベトナム語を話す。
となると、・・・俺のベトナム語のセリフを現地人に聞かれる事になるわけだ!

「発音を完璧にしなきゃならない。」というプレッシャーを感じ、
俺は必要以上にリキんでいたような気がする。

それから解放され、一気に疲れが出たのだろう。


さて、早速ウィーの親戚に聞いてみた。

ユウキ「ベトナム語、何を言ってるか分かりましたか?」

女性 「・・・ごめんなさい、全然分からなかったの。」


キャーーーーーーーーー


リキんだのが裏目に出た。

いつも通りに言ってればいいものを、
「ハッキリ言おう」と頑張るあまりに本来は不必要なアクセントを入れてしまったらしい。

ちっくしょー、難しいなぁ。

だが、気にすればするほど悪化しそうなので、もう気にしない事にした。


今日の舞台には、俺の日記を読んだ2人の方が、観に来てくれていた。

 (クリックで拡大)

楽しんで頂けたようで、本当に良かった。


家に帰り着くと、もうフラフラだ。
疲れて疲れて、どうしようもない。

今日はゆっくり眠ろうと思う。

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[中だるみを伸ばせるか]
9月17日(水)28:54


今日は、舞台劇「デッドライン」のリハーサルだ。
リハーサルと言っても、「セリフの読み合わせ」なんだけどね。

シアター劇場に集まったのは、レブリー(助監督)を含めて13人。
4人は、仕事やその他の理由で来れないらしい。

4人も居ないとスカスカだ。

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クリス(監督)が話し始めた

クリス「前回の公演は素晴らしかった。
    みんなの演技ももちろん良かったが、特に観客の質が良かったね。
    セリフに反応してくれる観客だった。
    皆もセリフに対する反応が分かるので、とても演じやすかったと思う。

    明日は、どのような観客になるか分からない。」
    もしかしたら、初日のような「聞く観客」かもしれない。
    「聞く観客」であっても、「反応する観客」であっても、しっかりと演じよう。」


    さて、そろそろ「慣れ」が出て来る頃だと思う。
    「慣れ」が出て来ると、セリフが飛んだり演技に張りが無くなったりする。
    大事なのは、他の人のセリフを良く聞く事。意味を考えて動く事。
    そして、毎回少しづつ何かを変えて演じるんだ。
    そうすれば、いつも新鮮な演技ができるはずだ。

    ・・・いいかい?それでは、始めよう。」


読み合わせが始まった。


・・・一週間というブランクは予想以上に大きく、
みんなセリフが粗くなっていた。

特にヤバイのは・・・熟年俳優カーリーだ。

セリフが抜けてしまったのだろうか。
完璧に言えてるセリフは殆ど無い。

・・・大丈夫かな。いつもハラハラさせられる。


明日は公演三日目。一番危ない舞台になるような気がする。

4日の公演日程の場合だと、

 初日は、これまでの成果を試す為、気合十分で望む。
 二日目は、初日のクオリティを保つ為、緊張感を持って望む。
 最終日は、有終の美の飾ろうと、全力で望む。

だが三日目は・・・、心に隙ができてしまうのでは無いだろうか。


何が起きても不思議じゃない。それが良い方向へ向かってくれればいいけど。

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一言

「呪怨」観了
部屋を真っ暗にして一人で観た。
翁菜恵が可愛かったです。

「レム(Chasing Sleep)」観了
部屋を真っ暗にして一人で観た。
光の使い方がとても上手く、
引き込まれる映像だった。(B

しかし、よりによって
何でこの二本をを選んだんだか


[日々精進。いつか必ず]
9月16日(火)29:51


最近、時代劇を良く見るようになった。
動機は「時代劇に目覚めた」という純粋な物ではない。

実はここ4ヶ月ほど木刀(折れたスコップの柄)と棍棒(太い木の枝)を、
1日1000回以上、毎日「素振り」してきたわけだが、
その甲斐もあってか、結構振れるようになってきた。

そこで、そろそろ「振り方」の勉強に入る事にした。

「振り方」を教えてくれる先生は、いない。
・・・いや、厳密に言えば、「ここには」いない。

先生はテレビの中にいる。

そう、俺は映画内で使われている数々の殺陣(たて)を研究し、
自分の物として吸収しようと企んでいるんだ。


今は、時代劇の殺陣のシーンだけを集めたビデオを作り、
それを見よう見真似で振って練習している。

だが、これだけでは足りないような気がするので、
「足の動き」と「身体の動き」、そして「刀の軌跡」を書き記した、
自分だけの「殺陣研究帳」を作ろうと考えている。

この研究がどこまで役に立つかは分からない。
だけどきっといつかは報われる、そんな気がするんだ。

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一言

「日本の黒い夏(冤罪)」観了
寺尾聡の演技に凄く引かれた。
とても自然だ。

「乱」観了
色々と勉強になる。
だが、何とも救われない話だ。


[もっと早く前へ進む為に]
9月15日(月)28:39


デジタル修正も済ませ、ヘッドショット(顔写真)が完成したわけだが、
今度はそれを印刷しなければならない。

問題はどの印刷屋へ行くかだが・・・

ハリウッド沿いにある、とある印刷所では、
300枚の白黒ヘッドショットを70$で印刷してくれる。

その印刷屋へ行ってみて、彼等が過去に印刷したヘッドショットの数々を、
実際に手に取って見て来たのだが・・・・どうしても納得が行かなかった。

確かに値段は安いが、肝心の画像は粒子が粗く、安っぽく見える。

・・・ヘッドショットは俳優の名刺。そして顔。
一番重要な物なので、できれば妥協はしたくない。


そこで、その「安い印刷所」をあきらめ、
俳優仲間を通じて「良い印刷所」の情報を集める事にした。

色々な人から情報を集めてみると、
「値段は少々高いが、リプロダクションという印刷屋が素晴らしい」
という情報が方々から入った。

リプロダクションねぇ・・・。

値段を調べてみると、「100枚で70$」との事。
安い印刷所の三倍の値段だ。

・・・うぅ。高い。高いぞ。

これはかなり高い。
だが、値段に見合う物を提供してくれるとすれば、どうなのだろう。

 ヘッドショットが良くなければ、オーディションに呼ばれず、
 オーディションに呼ばれなければ、役は取れず、
 役が取れなければ、金が入らない。

全てはヘッドショットから始まるのだ。

では、この「高い印刷屋」が印刷するヘッドショットが、
「安い印刷屋」が印刷するヘッドショットの三倍以上の仕事を呼び込んでくれるならば・・・?

それを考えてみると、安い出費なのだろうか。

だが、それは実際に印刷して、オーディションに応募してみるまで分からない。


幸い、その印刷屋は一度ヘッドショットを注文すると、
その後2年間に渡ってそのヘッドショットのデジタル情報を保存し、
次回に同じ画像を印刷する時には20%の割引をしてくれるそうだ。

それならば、まずは100枚だけ印刷し、
それをオーディションに応募してみて反応を見てみよう。
・・・もしも良い反応が得られれば、もう一度注文すればいいじゃないか。

俺は覚悟を決めて、100枚だけ印刷してみる事にした。


地図で印刷所の場所を確かめ、車に乗る。
フリーウェイ(高速道路)を乗り継ぎ、30ほどで到着した。

よし。印刷するぞ!

気張って車を降り、印刷所の前に立つ。ところが・・・


・・・あれ? 俺のヘッドショットはどこだ?


ヘッドショットのファイルが入った「CD−R」が見当たらない。
はて、どこに行ったかな・・・


・・・ああ!しまった!部屋の机の上に忘れて来た!


クソッ。うっかりしてた。
車を走らせると、30分掛けて家に戻り、
「CD−R」を引っつかむと、また車に飛び乗って印刷所へ。


余計な時間を食ってしまった。
だが、今度こそ大丈夫。ファイルはここにある。

今度こそ印刷所の中へ!



印刷所の中にある、見本のヘッドショットを見て思った。

・・・ああ、これは全然違うわ。

画像はとてもきれいに印刷されていて、安っぽさが微塵も感じられない。
粒子も細かく、細部までハッキリと見える。

確かに、有名なだけはある。
これなら、もしかしたら値段に見合った物ができるかもしれない・・・

生唾を飲み込んで、印刷を申し込んだ。


印刷には、4日掛かるらしい。
・・・4日後というと、金曜か。

金曜になればすぐに「闘い」が始められるよう、今からしっかりと準備をしておこう。

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[遅すぎた後悔]
9月14日(日)10:41


髪を短く切りたいけど、劇公演中に髪型を変えるのは、宜しく無い。

でも、今の髪型はボサボサだし、
劇が終わるまでのあと2週間もあるので、
このまま放っておいたら伸び放題で凄い状態になってしまいそうだ。

うーん。どうしたもんか。

俺の一存では決めかねるので、
クリス(劇の監督)に電話で訊いてみる事にした。


ユウキ「クリス、髪を短く切ってもいいかな。」

クリス「髪を切るって?」

ユウキ「そう。・・・やっぱ駄目?」

クリス「そんな馬鹿な。もちろんOKさ。」

ユウキ「え、OKなの?」

クリス「ああ、全く問題無いよ。切って良し。」


・・・予想とは裏腹に、クリスはGOサインを出した。
彼がOKと言うならば、切ろうでは無いか。

もちろん、自分で。


電動バリカンで、伸びた髪を一気に削る。
ボロボロと黒い髪が落ちていった。


刈り終わって、鏡をしげしげと眺める。


 ・・・ヤバくないか?これ。

なんとなく、刈り過ぎたような気がする。
野球少年みたいな坊主頭になってしまった。

これでは「ベトナム人将校」に見えないのではないか。

しかも、自分で刈ったので、刈り具合にムラがある。
友人に見せた所、「鳥に突つかれたみたい」と言われた。


うーん、困ったな。もう手遅れだ。
やはり切るべきじゃなかったか。

カツラを被るわけにもいかないし・・・

幸い「兵装」に着替えると、心配してたほど妙には見えない。
これなら許容範囲内・・・かなぁ。


しかし、もう切ってしまった物はしょうがない。
あとは演技でカバーするしかない。

クリス(監督)は「切っていい」って言ったけど、
このクリクリ坊主頭を見たら何と言うかな・・・気が重いや。

残念ながら、現実世界にはデジタル修正が効かないのであった。

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一言

移転に向けて、
サイトの構成を色々と変えた。
まだ途中段階なので、
どこかに不具合が出てるかも。


[その目で確かめるまでは]
9月13日(土)30:48


大家さんのジャッキーは「菜園」を持っている。

「菜園」と言ってもそれほど立派な物ではなく、
トウガラシが二本ほど生えてる他は、
好き勝手に伸びたスイカの葉が生い茂ってるだけだ。

そのスイカ、去年は2つしか実らなかったのだが、
今年はどういうわけか、8つもの実を付けた。

日に日に膨らんでいくラグビーボールみたいなスイカを見ていると、
食べる瞬間が楽しみになって来る。


・・・ところが昨日、フェンスからぶら下がっていたスイカの実が一つ、
自分の重さに耐えきれなくなって地面に落ちた。

はて、もう食べ頃だろうか?


叩いてみても、何とも微妙な音がする。

うーん。切ってみてまだ中が青かったら勿体無いし・・・
かと言って、このまま放ってたら痛んでしまうし・・・


ちぎれた茎からは、赤い果汁が滲み出ているのが見える。

・・・赤い果汁が出ているという事は、中は赤いって事か。
よーし、切ってみるとするか!


果たして、中は赤か、それとも青か・・・!



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 ・・・青。


少しは赤みをを帯びているけど、やはりまだ青い。
まだ食べ頃じゃなかったんだ。

しかし、もう切ってしまった。食うしかない。

ジャッキーと俺は覚悟を決めて、
スプーンで青いスイカをすくって口に入れた。


・・・あれ、意外に甘いや。
キュウリみたいな味を予想してたけど、青いスイカはほのかに甘かった。

まぁ、食えなくはない。だけど率先して食いたいとも思えない味だ。


ジャッキーが安売りで買った「本物」のスイカと味を比較してみる事にした。

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・・・やはり色が全然違うよな。見るからに美味そうだ。


 (クリックで拡大)


うめぇ〜!

本物のスイカは、やはり比較にならない程、美味しかった。
このシャリシャリの口触り、最高だ。

本物のスイカを食ったら、もはや2人とも青いスイカを食う気にはなれない。
どうしよう。漬物にでもしようかな・・・

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[デジタルの魔法]
9月12日(金)28:30


ヘッドショット(顔写真)のデジタル修正を生業にする友人が、
俺のヘッドショットを「無料」で修正してくれてたわけだが、
遂にその「完成品」を受け取った!


 それでは、みなさん。プロの腕をじっくりとご覧頂きたい。



修正前

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修正後

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・・・す、す、すげぇーーーーーーーーーーー!

背景だけじゃなく、迷彩服の色まで変わってる。
確かに黒服なら、ヘッドショットを見た時の印象を「兵士」だけに限定せずに済む。


しかし、顔の印象が違うように感じるのはどうしてだろう。

顔だけで、修正の前と後を比較してみよう。

 (クリックで拡大)

家庭用デジカメで撮影したこの画像は、
解像度が足りなくてシャープさに欠けていたのだが、見事に改善されている。

それだけじゃないな。

目の下の隈は消えてるし、
まゆげと髪の毛は補完されてるし、
うなじは無くなってるし、
目には光が宿っている。


ぬぬぬ・・・げに恐るべし。

まさか修正でここまで印象が変わるとは。
役者達がこぞってデジタル修正を注文するわけだ。

・・・さて、果たしてヘッドショットに映っているのは、俺なのか。
それとも、これは俺をモデルにした作品なのか。

どちらにしても、しばらくはヘッドショットに映っている「彼」にお世話になりそうだ。
よろしく頼むぜ、分身よ!

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[一発勝負に賭けろ]
9月11日(木)28:54


舞台劇「デッドライン」の公演二日目がやって来た。

俺は開演の3時間前から劇場入りし、舞台の準備を手伝っていた。
小道具を所定の位置に置いたり、
劇中で使うビール瓶を洗って、中に水を注ぐのを手伝ったり。


7時になると、キャスト達は衣装に身を包み、本番に備え始める。

だけど、彼等の顔には 初日のような張り詰めた緊張感は見られない。
みんなリラックスして本番を待っているようだ。

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)

 (クリックで拡大)


しかし、俺は少し緊張していた。
その理由は・・・もう少し後に取って置こう。


7時半になり、役者達が最後のトイレタイムを済ませた頃、
トレイシー(助手)が食い物を買って来た。

床に置いたタイ料理に群がるキャスト達。みんな腹が減ってたんだ。

 (クリックで拡大)


本番中に燃料が切れたら大変だ。
俺もしっかり食わせて貰った。やっぱタイ料理は美味いね。


・・・これで、しばらくは大丈夫なハズだ。

もしも燃料が足りなくなった時は、持参したコレを食べればOK。

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チョコレート・ミニドーナツ。6個入りでたったの75¢!
恐ろしく甘いけど、そこがいい。とりあえず腹が膨れるし。



8時になり、いよいよ幕が開いた。


最初のカーリー(熟年俳優)のシーンで少しつまずいたけど、気にしない気にしない。

今、気にすべきは自分のシーン。


今日は・・・「ベトナム訛りの英語」で、自分のセリフを言ってみようと思うんだ。


観客にどう聞こえるのか、それは分からない。
でも、試しにクリス(監督)にセリフを聞かせたところ、

クリス「うん。いいね。やっちゃえ!」

という、なんとも気前の良い答えが返って来た。

そこで・・・一発本番でやっちゃう事にした。


裏舞台で、何度も何度もつぶやくようにアクセントを練習する。

「もしかしたら失敗するかもしれない。」
その不安が、自分を緊張させているのが分かる。


 大丈夫。できるさ。

そう決意すると、腹をくくって舞台上へ向かった。


セリフを一つづつ、しっかりと言って行く。
間違えないように、中途ハンパにならないように。


そして、シーンが終わった。

 ・・・どうだったんだろう。

ワザとらしくなかったか。
声が小さくなかったか。
観客にはどう聞こえたのか。

暗い控え室の中で、
不安と期待が入り混じった気持ちを抱えて腰を降ろしていると、
たった今シーンを終えたクリス(監督)が戻って来た。

ユウキ「・・・どう思った?」

クリス「すげー良かった!良かったよ!」


・・・ほっ。クリスは気に入ったようだ。少し安心した。


最後のシーンが終わって、いよいよ「カーテンコール」だ。
数人づつ舞台上に戻り、観客に一礼していく。

大きな拍手喝采が聞こえる。
今日の観客の反応はかなり良いようだ。


俺の番が回って来たので、舞台上に戻ると、
しかめっ面のまま、観客の前に仁王立ちした。その瞬間・・・!


 ブゥゥゥゥゥゥ!


おならでは無い。何と・・・「ブーイング」だ!

俺のキャラクター(ロン)が嫌いなので、ブーイングしているのだろうか?
もしそうなら、悪役冥利に尽きるじゃありませんか。

俺は、爽やかな笑顔でブーイングに応えた。


舞台終了後に、数人の人達が俺に握手を求めて来た。

女性 「本当に素晴らしかったわ。アナタの事、ホントに大っ嫌いよ。うふふ。」

ユウキ「ありがとう。嫌ってくれて嬉しいです。」

女性 「ええ。それだけ感情移入できたの。
     悪役にとって、嫌われる事は勲章よね。これからも頑張ってね。」


男性 「おお、凄かったよ。凄く良かった。
     ありがとう。面白い物を見させてくれて。」

ユウキ「楽しんで頂けて光栄です。」

男性 「とある観客の女性なんてな、
     キミのシーンの後でキミに向かって
     「なんて嫌な奴・・・」と呟いてたぞ。
     なんとも凄い事じゃないか(笑)」


・・・どうやらブーイングは肯定的に考えて良さそうだ。
もっとたくさんの人にブーイングして貰えるように、頑張るとするか。


まだ、たった「2回目」の本番だけど、もう「半分」を過ぎた。
あと半分、気合を入れて行きましょう!

(休憩時間の風景)
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[叩かれて初めて気付く愚かさ]
9月10日(水)28:24


明日は、舞台劇「デッドライン」の2回目の公演だ。

本番を前日に控え、シアター劇場でセリフ通しが行われた。

流石に、一週間もの間セリフを一度も通さなかったら
本番が恐ろしい事になってしまうからね。


集合時間の7時半になってキャストが揃うと、
クリス(監督)が話し始めた。

 (クリックで拡大)


クリス「ン・・・ン。さて、セリフ合わせを始める前に、連絡をいくつか。」

どうした事か、クリスの声がガラガラだ。
おいおい大丈夫かよ。公演は明日だぞ。


クリスによると、先週の舞台初日に、
ロサンゼルスの無料情報誌「L.A.ウイークリー」の舞台批評家が来ていて、
今週の木曜日にその批評家が書いたレビュー(批評)が紙面に載るそうだ。


・・・何とも素晴らしいニュースじゃないか!
さてはて、一体どんなレビューをされたのやら・・・


しかし、クリスの顔は全く嬉しそうでは無い。


クリス「・・・実は、俺はもうそのレビューを読んだ。
    インターネット上では一足先に公開されてたからね。

    ・・・レビューの出だしは、
    「クリス・ディッカーソン監督・脚本のデッドラインは、ストーリーの破綻した・・・」
    から始まっていた。」


・・・・おっと、どうやら良いレビューは貰えなかったようだ。


クリス「なんだこれは、と、思ったね。
    まぁ、悪いレビューを貰う事は良くある。
    それは別に問題無い。」

    ・・・だが、一つだけ、どうしても許せない点がある。

    このレビューは、舞台の上演時間を「3時間」だと言っているが、
    これは全くのウソっぱちなんだ。
    幕が開いたのは8:15分だったし、
    幕が降りたのは10:18分だった。
    しかも、これは15分の休憩時間を含めた時間だ。

    2時間と3時間じゃ、全然違う。
    ・・・この批評家は何を考えてるんだ。
    今日、早速抗議のファックスを送った。」


クリスの話は続く。


クリス「・・・まぁ、この批評家は、チケットを予約する際に
    ダーン(プロデューサー)と言い争いになり、
    嫌々ながらこの舞台のレビューをしたんだ。

    それが尾を引いていたのかは分からないが、
    こいつは実際に舞台を観に来た時も
    受付の青年に無礼な態度で接し、
    マスコミ用のプレスキットを奪う様に掴み取って行った。

    ・・・まあ、だから、こうなる事は大体予測していたがね。」


「予測していた。」と言う割に、クリスは頭に血が上っているように見える。
そこまで酷い書かれ方をしたんだろうか・・・。


クリスの他にも記事を読んだ人は数人いた。
その人達によると、熟年俳優「カーリー」が酷くこき下ろされているらしい。

・・・ああ、やっぱりそうか。

たとえ、俺達にとって初日のカーリーの演技が「良く」見えても、
それは、今までのカーリーの演技と比較した「良さ」であって、
観客から見た「良さ」では無かったんだ。



このレビューは、確実に明日の公演に影響して来るだろう。

影響しないハズが無い。



今回は、俺は書かれて無いようだが、
過去に、映画「ブラックニンジャ」で批評家にボコボコに叩かれた経験がある。

「映画の中でワースト1」と書かれたんだ。

 「マツザキユウキの子供向けアニメのような演技は、
  他のどの役者よりも際立っていた。」

とも書かれた。


俺は、自分の演技に絶対的な自信を持っていた。
「ブラック・ニンジャ」にしても、
「映画内での自分の演技は完璧だった」と信じて疑わなかった。


 だが、このレビューを読んだ瞬間、
 それらの自分の演技に対する絶対的な自信は、
 木っ端微塵に吹き飛び、一度、「完全に」崩壊した。


   そう。跡形も無く崩れ去った。


自分の演技に自信を失った俺は、
誰かに批判されるのを恐れ、演ずる事ができなくなった。

演ずれば、また批判されるかもしれない。・・・怖い。


一度崩れてしまった自信を取り戻す事は並大抵では無く、
崩壊した自信の欠片を拾い集め、
また一人で立ち上がるまで・・・半年以上の時間が掛かった。


 だが、結果的に「それ」は良かったんだ。


完全に崩壊した自信を、一から再構築した結果、
俺の演技に対する考えに、それまでに無かった新たな物が生まれた。


 それは「反省と改善」「謙虚さ」そして「向上心」。


叩かれたのなら、それを糧とすればいい。
叩かれたのなら、「どうして叩かれたのか」を深く考え、それを直せばいい。
叩かれたのなら、もっと上を目指せばいい。


 そして俺の中身は変化した。


「自分の演技は、素晴らしく、個性的で、完成されている」
という傲慢な考えから

「自分の演技は、拙く、荒削りで、未完成だから、常にもっと上を目指そう」
という考えになった。


どうして、辛辣に批判されるまで「この事」に気付かなかったのか。
自分に自信を持つあまり、目が曇っていたのか。

俺にとっての始めての大きな映画となった「ラストサムライ」。
この映画の撮影前に「この事」に気付いていれば・・・



・・・って、いつの間に「俺がどうやって復帰したか」の話になったんだ!
「レビューが明日の舞台にどう影響するか」という事を話す予定だったのに。

えーと・・・、明日の公演頑張ります。はい。

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一言

映画「千年女優」観了
すげーなおい。
あまりの映像美に圧倒された。


[新たな始まりへの序曲]
9月9日(火)29:15


前に、俺のヘッドショット(写真)の修正を引き受けてくれた、
デジタル修正のプロから電話が掛かって来た。

なんでも、俺のヘッドショットの修正が完了したので、
「サンプル画像」を見てくれ、との事。

ええ、勿論ですとも!

期待に胸を躍らせながら、その画像を覗き込んだ。


←修正前・修正後→ 

 (クリックで拡大)


ほほぅ。これは・・・

背景が変わっている。それは一瞬で分かった。
だけど、それ以外の修正箇所は、
手違いにより「小さなサンプル画像」しか見れなかったので、まだ分からない。

明日になれば大きい画像を見る事ができる予定なので、楽しみにしていよう。


今使っているヘッドショットは、あと十数枚しか残されていない。
この新しいヘッドショットを武器にして、新たな闘いが幕を開けるんだ!

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[夢の世界からの誘い]
9月8日(月)27:50


身体が強力に睡眠を欲している時がある。(B

 とても疲れている時、
 ストレスが溜まっている時、
 慢性的に睡眠時間が足りなくなっている時、
 飯を食べ過ぎた時・・・

何十日かに一度、寝て、寝て、寝まくってもまだ眠い日がある。
それが今日だった。

起きて、たった4時間しか経ってないのにもう眠い。

今日は特にやる事も無いので、
この眠気に全てを委ねてみるのも悪く無い気がしているのだ。

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[鶏の恩返し]
9月7日(日)29:29


一昨日はマレーシア料理、昨日はカニ。
姉夫婦には、二日連続で美味い物を食べさせて貰った。

今度は俺が何か美味い物を食べさせる番だ。

俺が作れて、そして凄く美味い物・・・一つしか思い浮かばない。

「チキン南蛮」だな。


かくして、チキン南蛮を作る事になったのだが、
姉は、せっかくなので友人達を呼び集めたらしい。

その数、14人。

14人分のチキン南蛮・・・そんなの作った事も無い。
とりあえず、鶏肉が大量に必要な事は分かる。

鶏肉を買って来るように姉に頼むと、買って来たのは「もも肉」だった・・・

普通は「胸肉」を使うけど、「大量の胸肉」を手に入れるには「大量の金」が掛かる。
やむ終えないので、「もも肉」から手作業で骨を取り除き、
それを使って作る事にした。


黙々と、十数本に及ぶ「もも肉」から骨を取り除く

一時間ぐらい経っただろうか。全ての骨を取り除いた。

 (クリックで拡大)


・・・こうして見ると、結構な量だ。

この鶏肉を、今度は一枚づつ油で揚げ、南蛮酢に漬け、
一口サイズに切って皿に盛って行く。

 (クリックで拡大)

14人分を、2枚の皿の上に盛らなきゃいけないので、
まるで小山のようにチキン南蛮が積み重なって行った。


料理を始めてから二時間半が経ち、「14人分のチキン南蛮」はとうとう完成した。

1皿目
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2皿目
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・・・いくら何でも積み上げ過ぎだ。


見た目は凄いが、味は変わらない。
お客さんの反応は上々。気に入って貰えて嬉しい。

それにしても、調理に二時間半も掛かるとは予想して無かった。
料理ってのは、結構疲れるもんなんだな。
まぁ、「美味しい」と言って貰えれば報われるわけだけど。

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[真紅の宝を探せ]
9月6日(土)26:40


今日は、姉夫婦がカニを食わせてくれるそうだ。
何とも豪勢な・・・・と思ったが、どうやらレストランで食べるわけでは無いらしい。


車を走らせる事30分。
やって来たのは、何と「カニ獲り場」。

罠を仕掛け、自分でカニを獲り、獲れたカニをその場で食べるそうなのだ。

罠の中には、カニをおびき寄せる為の鶏肉が吊るしてある。
それを岸から少し離れた位置に沈め、
カニが罠に掛かるのを待つというわけだ。

罠の設置場所までは、ゴムボートで行かなきゃならない。

ゴムボートの漕ぎ手は、このお二方だ。

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彼等が何を言いたいのかは分からない。


罠を仕掛けて、待つ事30分。

・・・そろそろ罠に掛かったかな?


罠にカニが掛かったかどうかを調べに行く。

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4つ仕掛けた罠のうち、1つの罠が大ヒット。
罠の中にひしめくカニ、カニ、カニ・・・

だけど、どのカニでも食べていいわけではない。

「メスは必ず逃がす」
「ある一定の大きさに達してないカニは逃がす」
「一日の最大数を超えて獲ってはいけない」

など、色々な規則がちゃんとある。


その規則に従って、残ったカニは3匹。

選ばれたカニには、そのまま温泉に浸かって頂く事になった。

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まぁ、ゆっくりしていきなさい。


どういうわけか魚も罠に掛かっていたので、火に当たって頂く事になった。

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まぁ、暖まっていきなさい。


しばらくすると、何とも良い匂いが漂って来た。

鍋からカニを引き上げると、新聞紙の上で甲羅を取り外す。
甲羅の裏のカニ味噌を指ですくって口の中に入れると・・・


  美味なり!


 カニの芳醇で濃厚な味わいと旨味が口の隅々まで広がり、
 奥歯で噛み締めれば染み出た液体は舌の上でワルツを踊り、
 口の中でしばらく遊んだ後、春の小川のようにゆるやかに喉の奥へと流れて行く・・・

こんなに美味いカニは、今まで食べた事が無い。


元々、カニが好きな方では無かった。
「殻を外すのが面倒なくせに、たいして美味くはない」
というのが、俺のカニに対する印象だった。

だが、目の前にあるこのカニはどうだ、
この世の物とは思えない程 美味いじゃないか。


3人で3匹のカニをたいらげ、また罠を引き上げてもう3匹。

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新たな3匹が真っ赤に茹で上がる頃、
夕日はすっかり落ちてあたりは真っ暗になっていた。

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一言

8月の日記が縦に長くなり過ぎ、
更新作業でバグってしまうので、
仕方なく前・後半に分ける事に。
んんん・・・どうなんだろ。


[風のように、鳥のように]
9月5日(金)25:42


姉夫婦が夕食をおごってくれる事になり、
マレーシア料理屋へやってきた。

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最初に出てきたのは、シーフードにトマトソースを絡めたような料理と、焼飯。
これがどちらも凄く美味い!

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・・・ふぅ、食った食った。

次々に出て来る料理をすっかりたいらげ、
パンパンになった腹を抱えて料理店を出る頃、あたりはすっかり暗くなっていた。


食後のドライブという事で、夜景がキレイに見えるという場所へと向かう。

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キレイだ。

いや、実にキレイだ・・・


      「バンクーバー」 の夜景は。







・・・アレ!?

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[本番とは恐ろしい]
9月4日(木)28:52


とうとうやって来た、舞台劇「デッドライン」の本番だ。

シアター劇場に着くと、
レブリー(助監督)が壁に貼った、「演技に関する注意事項」に目を通す。

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特定の個人を対象にした事項もあれば、
みんなを対象にしている事もある。

でも壁に貼る事で、みんなに読んで貰えるし、
わざわざ声に出して言う時間を省けるってわけだ。流石はレブリー!

ちなみに、俺個人に関する事は、

ロン:昨日の入場の仕方は素晴らしかった
ロン:昨日の会話部分の音量は素晴らしかった

の2つだった。嬉しいな。



ところで、今日は睡眠が足りてないので、
燃料が途中で切れる可能性があった。

そんな事が本番であって良いハズがない。

それを防止する意味も込めて、
ここは奮発して「フライドチキン」を買って来た。

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やったーーーーーー!肉だ!肉だ!

もうこれで元気数1000倍。何も怖くない。



7時半になった。

キャストは全員「控え室」に入り、劇場内にはお客さんが入って来た。

全てが決まる開演まで、あと30分。

セリフの最終チェックをしている人や、
衣装を着込んでいる人もいるけど、
それが済んだ人は、真剣な表情で、何かに集中している。


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・・・いよいよ開演まであと5分。


キャストは全員で円陣を組んだ。

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クリス「みんな、ここまで来た。
    ・・・今日は楽しもう!」


円陣の中心に手を集めて、心を一つに。

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・・・開演まであと1分。



控え室の電気は消された。

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キャスト達は皆、自分のやる事に集中し、
いよいよ真剣な表情で開幕を待っている。



 そしていよいよ幕が開いた!



第1幕の最初のシーンは、
熟年俳優「カーリー」のセリフの90%が集まっている。

だが、今日のカーリーが何かが違った。

少しセリフがもたつく場面はあったが、飛ばすわけでもないし、
しっかりと強弱をつけてセリフを喋っている。

さては「本番の神」が舞い降りたか!?

カーリーのセリフが終わると同時に、
クリス(監督)は思いきりガッツポーズをして、小声で囁いた。

クリス「やった・・・!」

そう。今、最大の難関を突破したんだ。

これは・・・いけるぞ・・・!



 全ての歯車は上手く回った。



最後のセリフを言い終え、カーテンコールを行う頃、
役者達の顔は輝いていた。

みんな、自分達が今までで一番良い劇をした事を分かっているんだ。


自然に笑顔と安堵の表情が浮かんでくる。

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俺だっ$F!#

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レブリー(助監督)だって!

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劇終了後の観客の反応も素晴らしかった。
シアター劇場のオーナー「ジェフ」すら、かなり気に入った様子だ。


まだ最初の1回目の公演だ。あと3回ある。
ここで得た極上の自信に溺れないで、更なる高みを目指すんだ。
大丈夫。俺達は、・・・やればできるんだから!

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一言

ラストサムライのアフレコに関する日記は、
一応書いているけど、
映画が公開されるまでは、
日記も公開しないようにしようと思う。


[ラストサムライのアフレコ]
9月4日(木)24:43


(この日記は時期が来るまで非公開になっています。)

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[そして明日へ滑り出す]
9月3日(水)26:08


今日が舞台劇「デッドライン」の最後のリハーサルだ。
もう練習は無い。後にあるのは本番のみ。

今日のリハーサルは、「本番と全く同じ進行」をする予定になっている。

キャスト達は7時までに劇場に入り、全ての準備を7時半までに済ませる。
7時半には観客が入ってくるので、
それ以降は控え室の中から出る事はできない。


・・・7時半になった。
よし。キャストは全員揃っている。

一つの白熱電球が薄暗く照らす控え室に、
15人のキャスト全員が集まった。

何とも凄い光景だ。写真でも撮っておくか。

・・・あれ、家に忘れて来たかな?
バッグの中にはカメラが入って無い。

仕方が無いので、「イメージ図」で許してもらおう。

 (イメージ図)


そして、いよいよ最後のリハーサルの幕が開いた。

最後のリハーサルは、ダーン(プロデューサー)の
セリフ飛ばしから始まって、波乱の幕開けとなった。

だけど、それ以外は、・・・結構まともに進んだ。

前回があまりに酷かったので、
俺の感覚が狂ってしまったのかな?


確かにセリフが飛ぶシーンはいくつかあったけど、
誰かがそれをカバーして、ストーリーは一応進んで行く。

昨日に比べたら、これはかなり良い出来だと思う。


ただ一人、熟年俳優「カーリー」を除いて。


カーリーは、もう手におえない。
セリフは勝手に変わるし、
タイミングは常に遅れるし、
一つ一つのセリフの前に思い出してるのがバレバレだし。

どうなってんだ。この人は。


控え室の中で、クリスに小声で助言する。

ユウキ「クリス。明日の本番前に、
     カーリーとセリフ合わせの練習をした方が良くない?
     流石にあれじゃまずいだろ」

クリスは大きく溜め息をついて言った。

クリス「・・・分かってる。
    だが、もう「2週間」も、
    「毎日」、セリフ合わせをしてアレなんだ。
    どうしようも無い。なるようになるだろ。」

駄目だこりゃ。クリスもさじを投げている

カーリーがセリフを覚えられなくて、
本番で失敗すれば、それはクリスのせいなんだけどね。

クリスのミスキャストのせいだ。

カーリーの経歴を信頼し過ぎて、
どれだけの実力があるかを試さず、頼み込んだんだから。


問題を抱えながらも、最後のリハーサルは無事に終了した。

俺の不安な点は大きく2つ

1、カーリー(熟年俳優)のセリフ

2、ソニータのファンションショーみたいな衣装。
 (クリックで拡大)

たった今、一週間のジャングル取材から帰って来たのに、泥一つ付いて無い。
何でモデルみたいな格好してんだ。


他は、何とかなるような気が・・・・・しないでもない。

リハが終わった後に、シーンの「最終確認」をする。

クリス「俺は、もう今日からただの俳優の一人だ。監督では無い。
    監督としての仕事は昨日で終わった。
    あとは、技術的な質問はレブリー(助監督)にしてくれ。
    ニューヨークなんかでは、監督は本番の前日まで面倒を見て、
    本番は見ない。それと同じようなもんだと考えてくれ。」

・・・何と無責任な発言か。

ニューヨークだか何だか知らんが、
その監督は「劇を完成させる」所までは責任を持ってやったはずだ。

ところがクリスは「劇を完成させて無い」くせして、
その後の混乱の全責任をレブリー(助監督)に押し付けようとしてる。

そんなに「俳優」がしたければ、最初から全部レブリーに任せれば良かったんだ。
その方が、良い物ができていたハズだ。

今さら愚痴っても何も始まらない。何も変えられない。
泣いても笑っても、・・・明日は本番だ。



家に帰り着いたのは、午後11時半を過ぎた頃だった。

留守電にメッセージが入っていたので、そこに電話をすると、
映画「ラストサムライ」のプロダクションからだった。

・・・何だ?今頃。

話を聞けば、「明日」、アフレコ(声の録音)に来て欲しいとの事。
まだ完成して無かったとは知らなんだ。

場所は20世紀フォックスのスタジオだ。


 映画「ラストサムライ」のアフレコは、午前10半より。
 舞台劇「デッドライン」の本番は、午後6時から。

明日は凄い一日になりそうだ。なんだか楽しくなって来た。

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[狭まる余裕と広がる失望]
9月2日(火)26:21


舞台劇「デッドライン」の本番は明後日だ。
シアター劇場に着くと、劇場前にダーン(プロデューサー)が居た。

昨日 醜態を晒した後だ。一体どのような反応をするんだろうか。


ダーン「ようユウキ!元気かい?
     俺は復活したよ!!」

凄え。悪びれた様子が微塵も無い!
まるで病気から復帰したかのような爽やかな笑顔だ。

ここまで完全に開き直る事ができるとは・・・・アメリカ人恐るべし。


キャストが全員揃った所で、ダーンが皆に謝る。

 (クリックで拡大)

ダーンは笑いながら冗談っぽく謝っているので、キャストも顔は笑顔だ。
しかし、腹の中でどう感じているかは分からない。



さて、ダーンの懺悔(ざんげ)が済んだ所で、リハーサルの始まりだ。
今日からは本番通りの進み方で行う

「本番通り」とは具体的にどういう事かと言うと、

 キャスト全員が舞台裏の「控え室」に
 自分の出番に関わらず
 常に入っていなければならない。

という事だ。


・・・しかし、この控え室、
「狭い」 「暑い」 「息苦しい」の三重苦と来ている。

 (クリックで拡大)

全員が座れる広さも無い。
こんな所で全く物音を立てず、2時間以上過ごさなければならないんだ。

だが、静かにしているおかげで、舞台の様子は手に取るように分かる。


・・・今日のリハーサルは最低だ。

明後日が本番だってのに、セリフはズタボロ。
特に酷いのは、

監督で、主役の「クリス」
プロデューサーで、主役の「ダーン」
熟年俳優で、サム役の「カーリー」   の3人。

特にクリスは、
 「・・・くそ、セリフは何だ!」
と舞台上で言ってしまうので、タチが悪い。

本番では、それは言えないだろ。
クリスがセリフを忘れてしまったら、他の誰かがカバーしなきゃ。



クリス(監督)が舞台上にいるので、殆どの実権は
マネージャーであり、助監督の「レブリー」に移っている。

クリスが
 「休憩を15分取る」
と言うと、必ず20分取るハメになるのだが、
そこでレブリーが
 「みんないい?15分と言ったら、15分なの。」
と釘を刺すし、

舞台の様子を常に観察していて、
 「〜〜のシーンでセリフが聞こえ無かったので、もっと大きく喋る事。」
という風に指摘するのもレブリーだ。

もしもレブリーが居なければ、今頃どうなっていた事か。



最低なリハーサルが終了すると、
みんなを集めて、クリスが言った。

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クリス「良かったよ。実に良かった。
    今のは、ここしばらくの間で一番素晴らしいリハーサルだった。」

・・・クリスよ、お前の目は節穴か。

セリフは飛びまくり。
劇のテンポは総崩れ

こんなリハのどこが素晴らしいってんだ!
ふざけるのもいい加減にしろ。


明日は最後のリハーサルだ。
カミさま、ホトケさま・・・・・・・奇跡よ起きろ

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[無責任な主催者]
9月1日(月)26:00


舞台劇「デッドライン」の本番まであと3日。
今日からリハーサルは追い込みに入る。

だけど、その前にちょっとした余興を用意してあるんだ。


ジャジャジャジャーン!

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今日は、ダーン(プロデューサー)の誕生日なんだ。

数日前からマネージャーのレブリーが中心となって、
秘密裏にバースデーケーキを用意していた。

しかも、これは中にアイスクリームが入っている特製だ。

ダーンの喜ぶ顔が浮かぶ。
早く来ないだろうか?



皆がダーンが現れるのを今か今かと待っていると、
クリス(監督)から最悪のニュースが告げられた。

クリス「今日は、ダーンは来れない。
    ・・・来れる状態じゃないんだ。」

聞く所によると「ダーン」、「クリス」、
そしてデッドラインのキャストである「カーリー」と「スティーブ」は、
 昼間の1時から、今まで酒を飲んでいて、
それで、ダーンが酔い潰れてしまったそうだ。


・・・はぁ?

今の時間は「午後7時」だ。
6時間も続けて飲めば、酔い潰れて当然だ。

クリスもクリスだ。
今日が大事なリハーサルだと知ってて、どうして止めないんだ。

キャストはみんな呆れている。

ダーンは昔、こんな事を言っていた。

 ダーン「本番前の数日は一番大事な期間だ。
      俺がニューヨークに居た頃、ある劇で役を取った女優がいた。
      彼女は素晴らしい女優だったが、
      本番まであと数日のリハーサルに参加できなかったので、
      役を降ろされた。
      こんな事は良くある話だ。
      だから、どんな理由があってもリハーサルには必ず出席する事。」

今聞けば、ちゃんちゃらおかしくて、まとも聞いてられない話だ。
こんな偉そうな事を言っていた張本人が、

 「飲み過ぎで本番前のリハーサルに出られません」

と来たもんだ。そりゃキャストも呆れるわけだ。



クリス(監督)と、レブリー(マネージャー)が、
B劇場を使って照明と音響のリハーサルをしている間、
キャスト達はC劇場のロビーでセリフ合わせをする事になった。

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セリフを通していると、誰かがエレベーターから降りて来た気配があった。

聞けば、何とダーンがやって来たらしい!
流石はプロデューサー。意地に賭けてやって来ましたか。


・・・ところが、C劇場まで来る気配は無い。

どこへ行ったんだ?

B劇場を覗いてみると・・・ いた。
大口開けて、いびきをかいて寝ている。

こりゃ駄目だ。


本番まで、あと3日のリハーサルなのに、
主人公でプロデューサーのダーンは

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 寝ている。


キャスト達が時間を少しでも無駄にしまいと、セリフ通しをしている間、
主人公でプロデューサーのダーンは

 (クリックで拡大)

 寝ている。


皆がそれぞれに、「今一番必要な事」をしている時に、
主人公でプロデューサーのダーンは

 (クリックで拡大)

 寝ている。



こんな馬鹿にケーキは必要無い。

中に入ったアイスが溶ける前に食ってしまおう。

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ん〜美味い!これは美味いぞ!

前に食べたケーキと見た目は似ているが、
味は薄めで、何よりアイスが美味しい!

これなら俺でも食う事ができる。



その頃、B劇場では大変な騒ぎが起こっていた。

起きたダーンが、酔っ払って照明と音響のリハーサルを邪魔し出したんだ。
それにクリス(監督)がぶち切れて、ダーンを家に帰した。

一体何しに来たんだ。
リハーサルに来たと思ったら寝て、起きたら邪魔をする。最低だ。

ダーンが失った信頼は、もう回復不能かもしれない。
明日もリハーサルがある。彼はどんな顔をして現れるのだろうか。

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