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2012年07月15日
響け父の声
父が亡くなったとの報せが入ったため、
急遽、全ての予定をキャンセルし、
その日のうちに宮崎行きの飛行機に乗った。
１５時間の長旅の末に宮崎に着くと、
そのまま葬式会場へと直行した。
・・・良かった。なんとかギリギリ間に合った。
あと少しで、顔も見れないところだった。
・・・はぁ。
昨年の夏、パイレーツのプレミアに合わせ、
宮崎に日帰りで戻った際、
俺は父と二人だけで銭湯に行った。
風呂に入った後、待合室で肩を揉んであげながら、
俺は父と、互いに一つずつ「約束」をした。
一つ目の約束は、次に俺が宮崎に戻る時は、
父から「チキン南蛮」を奢ってもらう事。
二つ目の約束は、俺が５年以内に、
一人前の「ハリウッド俳優」になり、父に楽させてあげる事。
・・・まだ、どちらの約束も、果たされていない。
父の遺品を整理していると、目立つところに、
こんなファイルケースが置いてあった。
中には、俺のインタビュー記事がキレイにまとめてある。
・・・俺がお土産であげた、チョコレートの包装紙まで、
大切に保管してあった。
遺品の整理が全て済むと、
父の小銭で、チキン南蛮を買って来た。
いただきます。
・・・うん、やはりチキン南蛮は美味い。
ごちそうさまでした！
後付だけど、これで、お父さんからの約束は果たしてもらった。
今度は、俺が約束を果たす番だ。
こっちも後付だから、お父さんへの孝行は、
お母さんへと回す。それでいいよね？
さあ、帰ろう。
俺の声は、お父さんの生き写しだ。
俺が喋り続ける限り、お父さんの存在は消えない。
ハリウッドに戻り、一人前の俳優になり、
全世界に、お父さんの声を響かせよう。
投稿者 ユウキ : 23:55