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2012年02月15日 テレビ
焼けた炭の上
「とある新作テレビドラマ」の集合時間が午前6時と早いので、
俺は午前3時に起きて、撮影の準備を始めた。
・・・睡眠時間は約2時間半。
短いように思うかもしれないけど、
今回俺が演じる役としては、最適な長さだ。
スタジオ入りしたのは、集合時間の15分前。
スタッフに導かれるまま、メイク&ヘアメイクを済ませ、
脚本家の方の前で、一度シーンを通し、
セリフの最終チェックを行った。
・・・よし、いよいよだ。
控え室を出て、セットに向かって歩き出すと、
身体の底から震えが湧き上がって来るのを感じた。
寒さのせいだろうか、それとも・・・?
今回のシーンの撮影は、スタジオ内に作られた2つのセットを
モニターで繋いで「インタビュー形式」で撮影する、という、
これまでに経験した事の無い方式がとられた。
俺自身は、伏し目がちで、手元の紙を見ながらインタビューに答える、
かなりドライなシーンを想像していたんだけど、
カメラ目線で、という指示があったので、それに従った。
そして・・・、とうとう撮影が始まった。
もう前に何度も書いたように、今回俺が演じる役は、
どのように演じても批判を受ける役だ。
こればかりは、役の設定上、どう頑張っても避ける事ができない。
・・・でも、俺がもしこの役を「感情を持った一人の人間」に
する事ができれば、番組の視聴者に「日本人=この役」ではなく、
「日本人=感情を持った人間」と思わせる事ができる。
そうすれば・・・、これから先に生まれて来る
「日本人役」のイメージが、より「人間」に近づく。
そのためにこそ、俺はこの役を演じるんだ。
全力で日本人役を取りに行き、現場に入り込み、
日本人のイメージを改善するため、可能な限りの事する。
これが、俺達日本人俳優の使命だ。
今回は、「統率者」の方と、「日本人コーディネーター」の方の
協力があったので、環境としては、今までで一番恵まれていたと思う。
これで「題材」が違っていれば、最高だったんだけど・・・。
・・・とにかく俺は、自分にできる限りの事をした。
あとは、叩かれるのを耐えよう。