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2011年11月02日 舞台劇『ブリッジ』
急カーブ
今日は午後2時から舞台劇「BRIDGE」の立ち稽古。
監督の「ケリー」がキャストに話し始めた。
「これまでのリハーサルでは、
それぞれの役のリアリティを出す事に重点を置いてきたけど、
今日からは、『作品』としてまとめる事に重点を置いていきます。
だから私が、
『このシーンは、こういう風に演じて』
と演技指導をしたら、絶対に従ってね。
・・・では、自分のためではなく、
良い舞台を作るために、一つになりましょう。
さあ、リハーサルを始めるわよ!」
昨日までと違い、今日はキャストが一丸となって
「ストーリーの流れ」を付けていったので、
ようやく、劇としての「まとまり」が出てきた。
俺が登場する第二幕のクオリティも、かなり上がった。
・・・いいぞ!この調子だったら、何とか間に合うかもしれない!
本番まで、あと9日!
2011年11月04日 舞台劇『ブリッジ』
れごれご
プロデューサーの「デビッド」、監督の「ケリー」、
そして俺の3人で、舞台劇「ブリッジ」のポスターの
アイデアを出し合った事があった。
それぞれ、思い思いにアイデアを紙に描いていく。
デビ 「僕は、こんな感じのを想像してる。
・・・まずね、ポスターの両側に、靴が見えるんだ。
そして・・・、奥には水面が見える。
真ん中には・・・、『ブリッジ』の文字。
・・・見た人が、少し考えると、
これが橋の欄干の上だと分かる。
・・・どうかな。ゾクッとすると思うんだけど。」
俺 「ははー、なるほど。
でも逆に、『カメラ』を引いてみるってのはどうかな。」
デビ 「・・・・というと?」
俺 「今、このポスターを撮影した『カメラ』は、
足と足の間にあるよね。」
デビ 「・・・確かにあるね。」
俺 「このカメラを引いて、橋全体を写すのはどうかな。
・・・こんな感じで、橋と欄干が見える。
奥には・・・水面、そして月。
そして、デビッドのアイデアと同じように、
欄干の上に立つ男。
・・・どうかな。」
デビ 「ああ、いいね!」
ケリ 「私も、こっちの方がいいと思うわ。
・・・でも、ここにどうにかして、
『ミュージシャン』を入れられないかしら。
ほら・・・、こんな感じで。
俺&デビ 「・・・なるほど。」
・・・そんなこんなで、完成したポスターがこちら。
じゃじゃーん。
本番まで、あと一週間!
2011年11月05日 舞台劇『ブリッジ』
さくらさくら
舞台劇「ブリッジ」の公演が目前にまで迫ってきた。
リハーサルを始める前に、プロデューサーの
「デビッド」が、キャストに向かって話し始めた。
デビ「もうすぐ本番なので、そろそろ知り合いへの
呼びかけを始めて欲しい。
・・・まず、何よりも重要なのは初週の客足だ。
初週は、新聞やら週刊誌やらの
批評家が観にやって来るから、
空席ばかりだと、レビューの内容に響いてしまう。
そこで、どーにかして『満席』にしなきゃいけない!
・・・いや、決して冗談なんかじゃなくて、本当なんだ。
もちろん、『裏技』を使えば、すぐにでも満席にできる。
舞台専用の『エキストラ派遣会社』に電話して、
『20人お願いします』と言えば、確実に20席埋まる。
・・・でも、それにはお金が掛かるし、チケット代も入らない。
できればその手は使いたくない。
だから、ぜひ君達の方で呼びかけを行って、
初週に観に来るよう、薦めて欲しい。」
・・・という事ですので、
ぜひぜひ皆さん、初週におこし下さいませませ!!
■題名:「BRIDGE」
■公演日時:11月11日~12月18日
金曜日・土曜日・・・ 午後8時開演
日曜日・・・・・・・・・・ 午後2時開演
■場所:
Ruby Theatre at the Complex
6476 Santa Monica Blvd.
Los Angeles, CA, 90038
■入場料:$25
5ドル割引クーポンコード: 2052
■予約
http://www.plays411.com/bridge
(323)960-7740
■英語バージョン
http://www.facebook.com/event.php?eid=303982862946169
■ポスター
http://www.yukimatsuzaki.com/press/bridge.jpg
チケット予約の際に、クーポンコード「 2052 」を入力すると、
チケット代が5ドル割引になり、20ドルになります。
このクーポンコードを使ってお支払い頂いたチケット代20ドルのうち、
7ドルが「福島県災害対策本部」への募金にあてられます。
前回の公演よりも、より多くの募金を集めたいと思うので、
この舞台の事を、ぜひ多くの方々に教えてあげて頂けると嬉しいです。
・・・では、劇場でお会いしましょう!
2011年11月07日 舞台劇『ブリッジ』
でぷろまし
LA EigaFest という映画祭を主催している方から、
今週金曜日のオープニングイベントで、
レッドカーペットを歩いてくれないか、と要請があった。
今週金曜日・・・というと、舞台「BRIDGE」の公演初日じゃないか!!
レッドカーペットイベントは、午後6時スタート
舞台劇「BRIDGE」の集合時間は、午後7時。
・・・これは厳しい。
そこで、プロデューサーのデビッドと相談した。
デビ「うーーーん、それは難しいな・・・。
公演初日だから、ユウキがいないと困る。
・・・でもなぁ、レッドカーペットを歩いてくれたら、
舞台の宣伝になるからなぁ・・・。
ちょっと待ってて、監督と相談してくる。」
・・・待つ事5分。
デビ「オッケー、ユウキ。幸いイベント会場が
『チャイニーズシアター』で、この劇場から近いから、
7時15分までにイベント側が責任を持って、
ユウキを送り届けてくれるならいい、と伝えて欲しい。
・・・でも念を押すけど、絶対に遅れないでくれよ。」
という事で、レッドカーペットを歩く事になった。
さーて、困った。何を着よう・・・。
またメイクさんを雇わなきゃ・・・。
舞台劇「BRIDGE」本番まであと4日!
2011年11月09日 舞台劇『ブリッジ』
デスマッチ
今日は舞台劇「BRIDGE」の
一般公開リハーサルの日だ。
主役のスタンは映画の追加撮影で不在なので、
今日は代役のレスリーが「ミュージシャン」を演ずる。
リハーサル本番まであと1時間半。
舞台の上で仕上げの「通し稽古」をしていたところ、
舞台の下で、とんでもない大問題が持ち上がった。
・・・脚本家の「ウィル」が、舞台上の「金網」を
取り外さないと、降板すると言い出したんだ。
・・・は?
金網を外さないと、脚本家が降板??
全く意味が分からない。
「ウィル」が言っているのは、この金網の事だ。
観客席と舞台上を、完全に仕切っている。
ウィルは、これは観客の視界を遮るので、
良く無いと思っているんだ。
設置した当人であり、監督のケリーは、
「ウィル」の越権行為と脅しに大激怒。
「脚本家に、どんな権利があって
舞台のセットに口出しするのよ!
そこは、監督である私のフィールドでしょう!
辞めるなら辞めなさい!!」
と、もの凄い剣幕で息巻いている。
・・・そうこうしているうちに「通し稽古」の時間は無くなり、
公開リハーサルが始まってしまった。
~公開リハ中~
・・・リハーサル後、ケリーは舞台上に上ると、観客に尋ねた。
「皆さん、今日は公開リハーサルにお越し頂き、
本当にありがとうございました。
・・・ここで、ぜひ皆さんにお尋ねしたい事があります。
このセットの金網について・・・、どう思われましたか?
邪魔でしたか・・・?
それとも、リアリティを感じました・・・?
金曜日の本番に生かしたいと思うので、
ぜひ、感想をお聞かせ下さい。」
ケリーが、こうして客の感想を聞いた理由はただ一つ。
観客の好意的な反応を「録音」し、
それを脚本家のウィルに叩きつけるためだ。
そうすれば、ウィルも納得するだろうと踏んだのだ。
・・・ところが。
客 「うーん、僕は邪魔だと思ったなあ。
俳優の顔が見えないし。
もっともっと低くていいんじゃないかな。」
客 「俳優と自分との間に壁があるように感じて、
感情移入できなかった。」
客 「無い方がいいと思う。」
・・・大不評。
ケリーの思惑は大ハズレ。
結果、金網を30センチほど低くする事になった。
++++
舞台の下の問題が一段落したと思いきや、
今度は舞台の上で、「別の問題」が持ち上がっていた。
・・・俺の役のキャラクターについてだ。
今日の公開リハーサルには、
前回の公演を観た人が、3人ほど観に来ていた。
その3人が、3人とも、口を揃えてこう言ったんだ。
「前のキャラクターの方が良かった。」
あああああああああああ、・・・やっぱり。
「前の方が、ドラマチックで観ていて飽きなかった。」
「今回の第2幕は凄いドライで、あんまし面白く無かった。」
「前の方が、好感のもてるキャラクターだった。」
うううう、酷い。
・・・でも、自分でもそうだろうなぁ、と予想はしていた。
だってこの2ヶ月間、俺の第2幕は
完全にドライになるように、演技指導を受けてきた。
新しい俺のキャラクターは、劇中で「一度だけ」しか
笑う事を許されていなかったので、必然的に
憮然とした、好感の持てないキャラクターになっていった。
・・・本当にもう、勘弁してくれ。
俺は、前回の公演よりも、悪い演技をするために
今回の公演に参加してるんじゃないんだ。
良い演技をするためにここにいるんだ。
これから2ヶ月間、観客が見ていてツマラナイ役を
演じるなんて、俺には堪えられない!
そこで、自分の正直な気持ちをストレートににケリーに伝えたところ、
前回のキャラクターに戻す許可が貰えた。
そして、キャラクターが笑いたい時は、笑って良い事になった。
・・・ほっ。
よし。このキャラクターを、
主役のスタンと舞台上で交流しながら改良するんだ。
そして、より良い舞台にするんだ。
・・・さあ、盛り上がって参りました。
本番は、明後日!!
■募金総額:$17.51
2011年11月10日 舞台劇『ブリッジ』
金の針
今日はまず、明日の「レッドカーペットイベント」に備え、
生まれて初めて美容室に行って、髪を切ってもらった。
5月に人生で初めて美容師さんに
髪を切って貰った場所は、美容室では無かったんだ。
「よろしくお願いします。」
「今日はどういった感じにしましょう?」
「日本の方々が見ても、大丈夫な感じでお願いします。」
なんと美容室って、髪も洗ってくれるのだ!!
・・・・君は知ってたかなッ!?
それが済むと、今度は舞台劇「BRIDGE」の
最終リハーサルへと向かった。
・・・素晴らしい「立ち稽古」だった。
これまでで、最高のリハーサルだった。
俺のキャラクターも命を取り戻し、
「舞台上で生きる」事ができるようになった。
これなら、明日の本番で、
良い物が出せるかもしれない。
さあ、ここまで来たら、あとは覚悟を決めて、
一歩前に踏み出そう。
明日は公演初日!
2011年11月11日 舞台劇『ブリッジ』
コック長とお客
LA EigaFestのレッドカーペットイベントは、午後6時半からだった。
ハリウッドの中心に位置する
「チャイニーズシアター」の一角に、レッドカーペットは敷かれていた。
名前を紹介されて、カーペットの上に移動し、
写真を撮られて、俺の出番は終了。
滞在時間、およそ45分。
それから舞台劇「BRIDGE」の
公演初日に参加すべく、劇場にトンボ帰り。
ペーパータオルを水で濡らしてメイクを落とすと、
公演の準備に入った。
公演初日は・・・それほど大きな問題は起こらなかった。
演技している間に、相手役のスタンが一生懸命
セリフを思い出そうとしているのが分かったけど、
彼は隠すのが上手いので、おそらく観客にはバレて無いハズだ。
・・・問題は、公演後に起こった。
監督のケリーが、俺のキャラクターを、
「監督が作ったキャラクター」に戻せと、俺に迫ったんだ。
でも俺は・・・、既に不評だと分かってるキャラクターに、
どうしても戻したくない。
だって、実際に観た観客が、
「好感をもてない」
「同情が沸かない」
「見てて面白く無い。」
「前回の方が良かった。」
と、言っていた不評なキャラクターを、
6週間も演ずるなんて、まさに生き地獄だ。
ケリーは、俺が言う事を聞かないので、
「代役はいるんだからね!!」
と俺を脅している。
・・・こんな時、俳優は一体どうすればいいんだ。
監督の言う事を聞いて「不評なキャラ」を演じ、
観客から「つまらない」と批判されるのを、
甘んじて受け入れるべきなのか?
それとも、観客の反応を尊重し、
監督をブチ切れさせながらも、
「不評なキャラ」を封印すべきなのか?
はあ・・・、このまま監督の指示を聞かなかったら、
俺、クビになるのかなあ。
でもその代わり、批判を受けなくて済むから、
それでもいいのかもなあ。
全く、なんちゅう公演初日だ。
明日の公演は、一体どうなる事やら・・・
■今日の募金額:$33.00
■募金総額:$50.51
2011年11月12日 舞台劇『ブリッジ』
三叉路
今日は舞台劇「BRIDGE」の公演二日目だ。
朝、マネージャーのマイクから電話があった。
「・・・なあユウキ、BRIDGEから降りよう。
水曜日に俺が観た『例のキャラクター』を
これから6週間もの間、演じてたら、
ユウキが批判されて、経歴に傷が付く。
君のマネージャーとして、それだけは絶対に許せない。
月曜日に俺から監督のケリーに電話するよ。
だから・・・、役から降りよう!」
すっかり頭に血がのぼったマイクをなだめ、
俺は重い足を引きずりながら、本番前のリハーサルへと向かった。
・・・このリハーサルで全てが決まる。
ここで監督のケリーを「演技」で説得できなければ、俺は終わりだ。
・・・大丈夫。勝算はある。
「自分のキャラクター」に、「ケリーのキャラクター」を、
上手い具合に、少し混ぜ込めばいいんだ。
さあ、覚悟を決めて、舞台に上ろう。
~~リハーサル中~~
今日のリハーサルは、
これまでで、 最 高 の出来だった。
演技中、相手役のスタンとの間に、
昨日の本番では生まれなかった「絆」が生まれ、
全てがビシッと決まった。
監督のケリーも、相手役のスタンも、
もちろん俺も、みーーんな目を丸くした。
まさかたった一晩で、ここまで良い方向に変わるとは、
誰一人として予想してなかったんだ。
ケリーは、シーン自体のクオリティが格段に上がったので、
キャラクターの事なんかもうスッカリ忘れて、大喜びしている。
なんとまあ、ゲンキンな方・・・。
舞台裏に引っ込むと、スタンが話し掛けてきた。
「・・・昨日はすまなかった。
俺は・・・緊張してたんだ。
映画の追加撮影から戻ってみたら、
照明とかが全部決められてて、
立ち位置も色々と変わってただろ。
その事や、セリフの事で、頭が一杯だった。
それに加えて、昨日はケリーが
『今日はLA Weeklyの批評家が来るわよ!』
ってアナウンスしただろ?
あれで、焦りに拍車が掛かったんだ。
LA Weeklyは辛口で有名だから・・・。
・・・すまなかった。今日は良い舞台にしよう。」
そして、公演二日目の幕が開いた。
今日の公演は・・・、
これまでで 最 高 の出来だった。
監督のケリーも、相手役のスタンも、
そして、もっちろん俺も、大喜び。
ケリー「ね!?言ったでしょ!?
私の言う通りにすれば、良くなるって!!!」
ユウキ「え"・・・? ええ、まあ、あの、そうですね・・・。」
おっかしいな・・・。いつの間にそんな事になってたんだろう。
まあ・・・、いいか!!
公演終了後、70歳ぐらいのおばあちゃんが俺に歩み寄って来た。
「前回の公演も観たけど、
今日の公演も・・・、本当に素晴らしかったわ!
私、すっかりあなたのファンになっちゃった。
サイン頂けるかしら・・・?」
うおおおおおおおおおおおおお、嬉しい!!!!
嬉しいぃいいいいいいいいいいいいい!!!!!
・・・そうだよ!!!!これだよ!!!
俺が求めていたのは、これだ!!!
「前回の方が良かった」じゃないんだよ!!!
よっしゃあああああああああ!!!!!
よーし、公演二日目にして、光が見えた。
さあ、明日も頑張ろう!!!!
うおおおおおおおおおお!!!
■今日の募金額:$5.00
■募金総額:$55.51
2011年11月13日 舞台劇『ブリッジ』
目隠しスロー
舞台劇「BRIDGE」公演3日目
今日は日曜日なので、昼公演だ。
舞台上で相手役のスタンと演じていると、
スタンの「演技のピント」がズレている事に気がついた。
セリフは一応俺に向かって喋っているんだけど、
目がどことなくうつろで、少しぼやけた印象を受ける。
公演終了後、監督のケリーにこの話をすると、
スタンが膝の痛みを抑えるために、
かなり強い鎮痛剤を飲んでいた事を教えてくれた。
なるほど、それでか。・・・俳優って大変だな。
まだまだ先は長い。
俺もケガだけは、常に気をつけなければ。
何はともあれ、1週目の公演は無事に終了。
あと・・・残り5週間!!
■今日の募金額:$29.00
■募金総額:$84.51
投稿者 ユウキ : 23:20
2011年11月16日 舞台劇『ブリッジ』
どうぞこちらへ
今日は舞台劇「BRIDGE」のリハーサルだった。
公演はもう始まっているけど、
まだ改良しなければならない部分が残っているんだ。
舞台上に上がる直前、相手役のスタンが話しかけて来た。
「日曜日の公演に、ペギー・マケイが来てたんだけど、
ユウキの演技を凄く褒めてたよ。」
「ペギー・マケイってどなた?」
「ペギーは俺と同じくアクターズ・スタジオの正会員で、
『デイズ・オブ・アワー・ライブズ』っていう昼ドラに
30年近く出演している大ベテラン女優だよ。
ユウキの事をかなり気に入ってた。
・・・なあ、ユウキもアクターズ・スタジオに入らないか?
正会員のオーディションを受ければ、おそらく受かるぞ。
もし正会員になれれば、『アクターズ・スタジオ』の
全てのクラスが一生、無料で受講できる。
しかも、クラスで隣の席に、超有名俳優が座ってたりする。
・・・今アクターズ・スタジオにいるアジア人は、女優が二人だけだ。
アジア人の男は一人もいない。
なあ、どうだ?唯一のアジア人俳優になってみないか?」
うううううううぅぅむ。。。。
気持ちは嬉しいけど、
俺の中でのアクターズ・スタジオは「変人の巣窟」なので、
どうも魅力を感じない・・・。
演技法も、納得が行かない部分があるし・・・。
でも、超有名俳優と演技できるのはいいなぁ・・・。
・・・とりあえず、お礼だけ言って、この話は流した。
リハーサルが済むと、妙に寒気を感じて、
頭がクラクラしてきた。
・・・イカン、風邪を引く前触れだ。
さすがに、公演疲れが出てきた。
金曜日までに、何としても治さねば。
2011年11月17日 舞台劇『ブリッジ』
鉄の心臓・ガラスの心
今日は舞台劇「BRIDGE」の代役公演のお手伝いに行って来た。
劇場に着くと、監督のケリーの様子がおかしい。
公演直前にも関わらず、大声でキャストに愚痴を言っている。
「もー、どーしよーかしら!!
人生最悪の日だわ!!!」
・・・監督として、本来こういう事はすべきではない。
舞台裏の雰囲気が悪くなると、公演に影響が出てしまう。
まあ、ケリーが荒れている理由は分かっている。
・・・批評家に叩かれたからだ。
最初の一週間で「BRIDGE」はいくつかの批評を書かれたけど、
その内容は、どれも似通っていた。
>キャストについて
・演技が素晴らしい
・心に響く
>脚本について
・セリフが生々しくてリアル
>セットについて
・グラフィティアートなど、
橋の情景をリアルに再現できている
>照明について
・夜景の電飾がキレイ
>監督について
・冗長
・単調
・退屈
そう。監督だけが叩かれたんだ。
・・・だから、荒れるケリーの気持ちは分からないでも無いけど、
それを代役キャストに八つ当たりするのは、ひじょーーにマズイ。
監督なんだから、感情的にならず、冷静に批評を分析し、
どのように改善すれば良いか、対策を練って欲しい。
・・・この業界で仕事をする人は皆、
批判を受ける事に慣れなければならない。
100%賞賛される事は、絶対にあり得ないのだ。
批判されて、自分がその批判に納得できる時は、
謙虚に受け止め、自分の糧としなくてはならない。
批判されても、自分がやっている事に絶対の自信があるのならば、
堂々と胸を張り、批判を跳ね飛ばさなければならない。
・・・果たしてケリーは、どちらの道を選択するのか。
投稿者 ユウキ : 23:46
2011年11月18日 舞台劇『ブリッジ』
りべんじ
今日は舞台劇「BRIDGE」の公演4日目。
公演前、相手役のスタンが俺に聞いた。
スタ「ユウキ、デリック(仮名)って覚えてるか?」
ユウ「・・・デリックって、あのデリック?」
スタ「そう。俺と同じくアクターズ・スタジオの正会員で・・・、」
ユウ「前回の公演で、本番2週間前に監督と大喧嘩をして
主役をクビになった・・・?」
スタ「そう・・・!その、いかれ野郎のデリック!」
ユウ「そりゃ、もちろん覚えてるよ。
そのデリックがどうしたの?」
スタ「・・・日曜日に観に来るってよ。」
ユウ「え"・・・?マジで?」
スタ「・・・ああ。マジで。
俺らの演技で、あの野郎に、
ギャフンと言わせてやろうぜ!」
そして、幕が開いた。
今日の観客は20人ほどだったんだけど、俺を観に来た客は0人。
公演後、プロデューサーのデビッドが寂しそうに言った。
「・・・おかしいなあ。
ユウキがこの前レッドカーペットを歩いたから、
日本人のお客がたくさん来るハズなのに・・・。」
う"・・・。
皆さん!!!!!ぜひ観においで下さいまし!!
■今日の募金額:$15.00
■募金総額:$99.51 (※チケット販売分は未集計)
投稿者 ユウキ : 23:54
2011年11月19日 舞台劇『ブリッジ』
ニンジャスター
舞台劇「BRIDGE」の公演5日目。
今日は、不思議な公演となった。
相手役のスタンのキャラクターが昨日の公演とは
微妙に変わっていたので、
シーン自体も、また違った方向へと進んだ。
・・・でも、最後はちゃんと無事に着地する事ができた。
うーむ、こういう「たった一度限りの公演」が
あるから舞台は面白い。
今日の観客数は、約20人。
そのうち、俺の知り合いは・・・0人。
ぎゃー
こ、こりゃあ、マズイぞ。
でもまあ、普通に考えたら、俺の友達は観に来るワケが無い。
だってもう、前回の公演で、みんな既に鑑賞済みなんだ。
・・・確かに新しく主役を演じてるスタンの演技は素晴らしいし、
セットだって、もの凄く豪華になってる。
でも、基本的なストーリーは同じだ。
・・・しかも、前回の公演の入場料は、「無料」。
今回は5ドル割引で、「$20」と来てる。
$20も払って、同じ舞台を観に来るワケがないッ!!!!
かと言って・・・、このままではさっぱり震災募金が集まらない。
何か、対策を打ち出さねば・・・。
・・・そこで、プロデューサーのデビッドと相談した。
ユウ「デビッド、$15でどうかな。$15。」
デビ「え?? ・・・え??」
ユウ「明日、日曜日の午後2時からの公演で、
入口で『ユウキの友達です』って言えば、
10ドル割引なるってのはどうかな。」
デビ「え?? ・・・え??」
ユウ「・・・いやさ、友達を呼びたいんだけど、
『本来の入場料は$25です。
でもユウキの友達は5ドル割引になります。
支払った$20のうち、$7が震災募金に行きます』
ってのが、ややこしすぎて、
まっっっったく伝わってないんだよね。
・・・ただ単に、
『チケット代、$25・・・高っ!
5ドル割引でも、$20・・・高っ!』
って思われてる。
このままじゃ、全然人が集まらないから、
震災募金も集まらない。
それだったら、むしろ、$15で劇を観てもらって、
あとは好きなだけ募金して貰う方が、
結果的にお金が集まる気がするんだ。
デビッドの本来の取り分は$13だったから、
それが$15に増える分には問題無いでしょ?
・・・どうかな。とりあえず明日の日曜日、
それでやってみるってのは。」
デビ「・・・うん。いいよ。よし、やってみよう。
俺も、どうにかして観客を増やしたいから。」
・・・という事なので、是非ぜひ、明日の日曜公演にお越し下さいな!
入口で「ユウキの友達です」と言って、$15で入場して下さいな!
これで少しでも人が集まれば、$15で固定して貰うつもりだ。
さーて、どうなる事やら・・・。
■今日の募金額:$37.00
■募金総額:$136.51 (※チケット販売分は未集計)
投稿者 ユウキ : 23:04
2011年11月20日 舞台劇『ブリッジ』
真っ二つ
舞台劇「BRIDGE」公演6日目。
・・・さあ、急遽決まった、今日一日限りの「入場料$15」。
お客さん、たくさん来てくれるかな・・・!?
・・・終わった。
今日に限って、天地がひっくり返ったかのような土砂降り。
道路は冠水し、20メートル先が見えない。
・・・案の定、観客数は過去最低を記録。
キャスト・・・4人
スタッフ・・・4人
観客数・・・4人
あーあ。
・・・そこに、プロデューサーのデビッドがやってきた。
「ユウキ、半額にしよう。
君の知り合いは全員、半額で入れるよ。
一人だったら$13、二人だったら$25。
・・・そしたら、来てくれた人が
舞台を観終わった後で、
いくらか募金してくれるかもしれないだろ。
・・・どうかな?」
す、す、すんばらしいいいいいいいい!!!!!!
すんばらしいアイデアだ!!
・・・確かに、そっちの方が募金も集まりそうだ。
こうして、プロデューサーのデビッドの粋な計らいで、
俺の知り合いは全員、「半額」で観れる事になった。
ぜひ、入口で「ユウキの知り合いです」と言って、
半額でご覧下さいませ!!!!
・・・残り、あと4週間!
■今日の募金額:$5.00
■募金総額:$141.51 (※チケット販売分は未集計)
2011年11月25日 舞台劇『ブリッジ』
オシノビ
舞台劇「BRIDGE」の公演7日目。
主人公のスタンが、「サンクス・ギビング・デー」という
祝日に合わせて奥さんと旅行へ出かけてしまったので、
今日は、代役の「レズリー」が主人公を演ずる。
「レズリー」と「スタン」は全く違うタイプの俳優なので、
当然、キャラクターも全く違う。
・・・俺のシーンがどう変わって来るか、楽しみだ。
舞台裏で開演の準備をしていると、
プロデューサーの「デビッド」が早足でやってきた。
「今日は、批評家が来てるよ!頑張って!!」
他のキャストと一緒に
舞台裏の「覗き穴」から客席を覗いてみると・・・、
確かに「批評家用の指定席」に女性が座っている。
・・・おっしゃ、レズリー、頑張ろう!!
そして、舞台の幕が開いた。
レズリー演ずる、いつもとは一味違った「ミュージシャン」に
合わせ、俺自身も流れを変えて行く。
・・・うーむ、これはこれで、新鮮で面白い。
舞台終了後、ロビーで募金を集めていると、
覗き穴から見えた批評家の女性が、
募金箱にお金を入れてくれた。
「本当に素晴らしかったわ!!」
・・・おおおお、これはレアだ!!
なぜって、通常、批評家は舞台が終わると、
誰よりも早く、キャストにも一切会わず、
ダッシュで帰るのが普通なんだ。
・・・だって、後から紙面上でこき下ろす人に、
直接会いたくないでしょ?
もしかすると・・・、今度は良い批評が貰えるかも・・・!?
さあ、明日の公演も頑張ろう!!
■今日の募金額:$11.00
■募金総額:$152.51 (※チケット販売分は未集計)
2011年11月26日 舞台劇『ブリッジ』
ふぁいあーぼーる
舞台劇「BRIDGE」の公演8日目。
主人公の「スタン」は旅行で不在なので、
今日の公演までは、代役の「レズリー」が主人公を演ずる。
今日のレズリーは・・・、ワイルドだった。
俺が舞台に上がった瞬間から、
凄まじいほどの気合で、セリフをぶつけて来た。
おおおお、何という「やる気」だ!
これは、良い舞台になるかもしれない・・・!
ところが・・・、今日のレズリーは、
何か肩に力が入り過ぎているのか、2分に一度くらいの割合で、
セリフを飛び抜かしたり、間違えたりしている。
おっとっと、こりゃマズイぞ。
俺が何とかカバーしなくちゃ・・・!
++<本来あるべきシーン>++
レズリ 「仕事は何してんの?」
俺 「ミュージシャン。」
レズリ 「ジャンルは?」
俺 「ブルース。」
レズリ 「マジで!?」
俺 「・・・うん。」
レズリ 「楽器は?」
俺 「ギター。」
レズリ 「誰とやってたの?」
俺 「タージ・マハールとか・・・」
++<今日のレズリー>++
レズリ 「仕事は何してンの!!」
俺 「ミュージシャン」
レズリ 「ウォーゥ、・・・マジで!?」
俺 「・・・うん。」
レズリ 「・・・ジャンルは!?」
俺 「ブルース」
レズリ 「えええッ!!・・・マジでぇ!?」
俺 「ああ、マジで。」
レズリ 「・・・ダレとやってたの!!」
俺 「ギタリストとして、タージ・マハールとか・・・」
+++++
・・・ふう。何とか乗り切った。
後でレズリー本人に聞いてみたら、
今日は恋人が観に来ていたらしい。
なーるほど!・・・だからか!
恋人に良い所を見せようと、頑張ってたのか。
・・・明日の昼公演からは、本来のキャストの「スタン」と演ずる。
さあ、明日も全力で頑張ろう!!
■今日の募金額:$36.00
■募金総額:$188.51 (※チケット販売分は未集計)
2011年11月27日 舞台劇『ブリッジ』
ポケットの中
舞台劇「BRIDGE」公演9日目。
主人公の「スタン」が戻って来たので、
今日からはまたメインキャストでの公演だ。
開幕前、監督のケリーがキャストに言った。
「今日は、オベーション・アワードの審査員が
二人観に来ます。
興行的に成功しているとは言えないので、
せめてLA舞台界のアカデミー賞である
オベーション・アワードを獲るわよ!!」
・・・久しぶりの「スタン」との舞台は、やっぱり楽しかった。
お互いが、お互いの一挙手一投足を伺いつつ、
舞台上でそれぞれの人生を生きる。
観客は存在せず、俺とスタン、
2人だけの空間が、舞台上に広がっている。
・・・そうだよ、これだよ。この張り詰めたリアリティ!
俺は、これが経験したかったんだよ!!
舞台裏に引っ込んで、
今日の舞台を回想していると、スタンが歩み寄って来た。
スタ 「・・・ユウキ、今日の舞台、どう思った?」
俺 「新鮮だったねー!」
スタ 「・・・だよな!新鮮だったよな!!
すっげえ良かったよな!!」
・・・良かった。
俺だけじゃなくて、スタンもそう感じていたんだ。
スタンと俺との絆は、舞台に上がる度に太くなっている。
お互いがお互いを信頼し、シーンの流れに身を任せているんだ。
さあ、残すところあとたったの3週間!!
よっしゃ、やーーーるぞーーーー!!
■今日の募金額:$33.00
■募金総額:$221.51 (※チケット販売分は未集計)
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