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2009年12月18日
ミキサー
今日は、撮影が休みだった。
俺は、5人の「メンバー」の中で一番真面目な「M君」と、
昼飯を食いに、近くのレストランへと向かった。
M君「僕は、これまで俳優を目指してやってきた。
・・・アジア系俳優としては、
それなりに仕事は取れたし、
自分なりに頑張ってきたつもりさ。
・・・でも、ユウキを見ていたら、
自分の取り組みが、どれだけ甘かったか・・・、
恥ずかしくなったよ。
でも、君はどうして、こんな小さな役に、
そこまで真剣になれる?
台本を読む限り、ただウケ狙いで、
ストーリー中に、アジア人を投入しただけじゃないか。
・・・24時間体制で、極限の食事制限までして
取り組む役だとは、僕には思えないよ。」
俺 「・・・役の大小を決めるのは俺じゃないよ。
俺は、与えられた自分の役に、
全力で取り組むだけの話さ。
でもね、日本人を、容姿や行動で、
見下し、あざける笑いには、俺は加担したくない。
だから今回、俺は逆に『完璧』を目指す事に決めたんだ。
・・・確かに、俺らのパートは『ウケ狙い』要素だったかもしれない。
俗に言う、『コミックリリーフ』って奴だ。
でも俺は、この台本上では、
よくある『低レベルなアジア人』を演じて、
アメリカ人の視聴者に『あざけり笑われ』なくても、
逆に『ハイレベル』で、視聴者を笑わせ、
十分『コミックリリーフ』の役割を果たせると思っているんだ。」
M君「・・・僕は、一体どうしたらいいだろうか・・・。
他の真面目じゃないメンバーと差を付けて、
しっかりと、自分の役割を果たすには、
どうしたらいいだろうか・・・。はあ・・・。」
俺 「とにかく、全力でやればいいと思うよ。
自分の考えうる全ての事を試してみればいい。
それが、俺達にできる、最大限の事だと思う。」
アメリカ生まれで、完璧な英語が喋れるのに、
「アジア系」というだけで、変なアクセントを付けて、
「情けないアジア人」を演じされられる・・・。
・・・自分が演じている「情けないアジア人」は、
「アメリカ人」である自分より下等な「アジア人」だ、
と自分自身に言い聞かせ、アイデンティティを保つも
自分も「アジア系」であるが故に、
自分で広めた「下等なアジア人」のイメージに首を絞められ、
そればかり演じさせられるようになる・・・。
こうして、「情けないアジア人像」は、永遠にループするのだ。
俺は、絶対に嫌だ。
俺は、内部に入り込み、内側から日本人像を変えるのだ。
投稿者 ユウキ : 23:11