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2008年02月18日 映画一般
90%の情報と、10%の想像
男性A「社長!オーケーです!」
社長 「おう。」
男性B「オッケー!」
++++
この会話を見て、どう思うだろうか?
俺は特に何とも思わない。
・・・でも実は、「何とも思わない」から凄いんだ。
「先入観」というのは本当に恐ろしい。
自分の中で、「その時代のイメージ」を勝手に作り出し、
それに合わないと、「間違ってる」と認識してしまう。
さて、俺が演じる「山下」の生きた
1953年とは、どんな時代だったんだろうか?
まずは、イメージを元に予測を立ててみよう。
■イメージからの予測
終戦から8年、戦争の傷跡はまだ深く残っていて、
日本人は皆、暗い顔をしているに違いない。
まだ欧米の文化が今ほど普及していないので、
カタカナ英語はそれほど広く使われていないはずだ。
大体、こういったイメージが思い浮かぶ。
だって、55年前の日本が、
今ほどチャラチャラしてるわけ無いじゃないか。ははは。
・・・しかし、こういった「先入観」こそが、
演技をする上で一番の敵になる。
次の会話を見て欲しい。
これは、1950年代を題材にした、
「とある映画」のワンシーンだ。
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男性A「社長!オーケーです!」
社長 「おう。」
男性B「オッケー!」
社長 「どうだいみんな、忘年会は箱根あたりで派手にやるかな?」
社員達「・・・おお!」「・・・よし!」
女性A「それよりもー、3ヶ月分の給料、おねがいしまーす。」
社長 「誰だぁ、不景気な声、出すのは?」
社員達「はははは!」
社長 「3ヶ月分の給料はモチロン、ボーナスの事も考えてるよ。」
社員達「おおおっ!」
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ははは!なんと陳腐な時代設定だ。
オッケーだの、ボーナスだの、現代的すぎるだろ。
この時代はもっと、日本的だったはずだ!!!!
・・・ところが、この映画が撮られたのは、「1950年」だ。
映画「醜聞(スキャンダル)」からの引用だ。
そんな馬鹿な!
その時代、こんな会話があるはずがない!
こんな「現代っぽい会話」は、あってはならないんだ!
・・・1950年なのだから!!
こんなのもある。
これは、映画「素晴らしき日曜日」のとあるシーンで、
画面の端っこに10秒ほど映っている「立て看板」だ。
どう見ても「バレンタインデーのダンスパーティー」と書いてある。
しかし、ここで恐ろしいのは、
この映画が撮られたのが「1947年」だという事だ。
・・・んな馬鹿なっ!
1947年にバレンタインデー!
有り得ない!あってはいけない・・・はずなんだ!!
60年前に生まれてない俺が1953年の日本人を演じるには、
文字情報や写真、映像などを参考に当時にタイムスリップするしかない。
そこで「先入観」を捨てなければ、
「1953年の日本人」ではなく、
「現代人が考える1953年の日本人」になってしまう。これはいけない。
時間が許す限りしっかりと調べ、
「1953年に生きた、9000万分の一日本人」になろうと思う。