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2005年12月20日 演技全般
本気の力!
先週の土曜日、日曜日、月曜日の3日間を使い
過去最大規模のヘッドショット(俳優の顔写真)の撮影を行った。
今回のテーマは ”「本物」になる事”
俺は今まで、様々な妥協をして来た。
「ビジネスマンっぽい」「侍のように見える」
・・・だが、今回は違う!
「ビジネスマンにしか見えない」「侍でしかあり得ない」
という、「完全主義」を貫くつもりだ。
・・・そう、今回の俺はかなり本気だ! やる気は150%くらいだ!
どうしてこんなにも必死なのか、その理由を話しておきたいと思う。
先月、俺のエージェンシーの「インパクト・タレント・グループ」の
オフィスにある1台のパソコンが壊れ、それを俺が直す機会があった。
その時、俺は自分のエージェンシーのオフィスに4時間ばかし居て、
担当のエージェントである「マイク」が
インターネット上でオーディションに応募する様子を眺めていた。
エージェントの応募方法はこうだ。
まず、コンピュータの画面にプロジェクトの概要と募集中の役柄が表示される。
・・・例えば、こんな感じだ。
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タイトル:ホニャホニャ大作戦
監督:ポンポコ
プロデューサー:パンパラ
キャスティング:ドンチャン
報酬:SAGの基本報酬
撮影開始:1月12日
2次オーディション期日:12月20日
この映画は低予算のコメディ映画です。
デモテープを含め、ネット経由で応募して下さい。
ホニャ刑事:30~40歳、男、白人。他人を信用する事ができない。
些細な事ですぐ怒る (主役)
ホニャ婦人:20~27歳、女、白人。ホニャ刑事を常にサポートする
献身的な妻。責任感が強い。(主役)
アァラ・マア:35~45歳、男、黒人。ホニャ刑事の親友。優しい。(脇役)
モジャモジャ:20~30歳、男、人種指定無し。弁護士 (端役)
======================
ここで、俺のエージェントの「マイク」が
「ホニャ刑事」の役に自分のクライアント(担当俳優)を
応募するプロセスを見てみよう。
マイクはまずクライアントのデータベースに行き、検索窓にこう入力する。
「30~40歳」「白人」
すると、その条件に合う俳優が30人ほどリストで表示された。
マイクはそのクライアントの一覧を見ながら、
その役に合う役者を選んで行く。
「ふーむ。この役に・・・・・・クリスは合うな。」
そうして彼はクリスの持っている写真一覧を表示させる。
・・・クリスは3枚の写真を持っていた。
そのうちの一枚が「刑事っぽい」ので、マイクはそれを応募に使った。
・・・同じような方法で、マイクは10人ほどの俳優を「ホニャ刑事」に応募した。
次に、「モジャモジャ弁護士」の役に合う役者を探す
「さて、モジャモジャには誰を応募しようかな。」
表示された俳優一覧を見ながらマイクは考える。
「・・・そうだ、ユウキも応募しよう。」
そう言って、マイクは俺の写真一覧を開く。
そこに表示されるのは・・・
マイクは悲しそうに頭を振る。
「・・・なんて事だ。ユウキはこの役にぴったりなのに、
弁護士に見える写真が一枚も無い!」
彼は「ユウキ」をこの役に応募する事を諦めた。
・・・エージェントの「応募」には常に責任が伴う。
エージェンシーの看板を俳優に背負わせるわけだから、
いい加減な写真は送る事ができないんだ。
・・・これがどういう意味か分かるだろうか
キャスティングディレクターは当然
応募されたヘッドショットを見て俳優をオーディションに呼ぶわけだが、
そこで「タイプキャスト」という作業を行う。
タイプキャストとは「彼は~~に見えるからオーディションに呼ぼう」
という行為の事だ。
どんなにその俳優が名優でも、
募集されている「タイプ」に見えなければ、オーディションには呼ばれない!
俺はこのプロセスを見て・・・ショックを受けた。
・・・だが、同時にある事を悟った。
試しにキャスティング・ディレクターの視点から考えてみよう。
・『郵便屋さん』の役を演じてくれる俳優が欲しい
そんな時、自分がキャスティングディレクターだったら、
どんな写真を持った俳優をオーディションに呼びたいだろうか?
・・・暗闇の中で不敵に笑う俳優? ・・・それは無い。
・・・鼻に割り箸を突っ込んだ俳優? ・・・そんな馬鹿な。
・・・明るい笑顔でにこやか笑う俳優? ・・・もしかしたらね。
・・・だが、そんな時、
もし「本当の郵便屋」の写真を持った俳優が居たら・・・?
俺がキャスティング・ディレクターだったら、
「本物」をおざなりにできるだろうか・・・? 俺にはできない!
・・・そうだ。 「本物」になればいいんだ!
「郵便屋」が欲しいなら「郵便屋」の。
「弁護士」が欲しいなら「弁護士」の。
「医者」が欲しいなら「医者」の。
いくつになるか知らんが、ニーズのある分だけ
「本物」のヘッドショットを作ってしまえばいいんじゃないか!
そうすれば・・・、「アジア人だから」という理由で
アジア人専用の役「しか」呼ばれないという現状を打破できるはずだ・・・!
これが、俺の閃きだった。
そして俺はこの撮影に全てを賭ける覚悟をした。
「本物」になる為に必要な物は全て揃える。
完璧な写真を撮ってやるぞ! ・・・低予算で。
さぁ、もう「おしゃべり」はいい。
結果をご覧頂こう!
●撮影初日 撮影者:カンナさん
ロケ地:自宅、グリフィス公園
照明:俺 メイク:俺
衣装:
水色のシャツ $12
水色のTシャツ $4
紺のズボン $7
靴 $20
サングラス $1
サングラスの紐 $1
小道具:
メール
肩掛け鞄
USPSのバッジ (自作)
・・・「本物」だ!よっしゃぁああああ
次、行ってみよう!
衣装:
くたびれた白シャツ
くたびれたジャケット
色あせたジーンズ $7
小道具:
毛布
ダンボール
スリッパ
ビニール袋
空パック
散髪前に撮影した画像。
さようならボサボサヘアー・・・
次、行ってみよう!
衣装:
紺のYシャツ $6
水色のTシャツ
紺のズボン
腰の道具入れ $1
帽子 $14
小道具:
俺のトヨタ車!
手に持ってるクリップのような物
道具箱
手袋
禁煙のマーク $1
謎のテープ×2
この帽子は色々と使えそうだ
次、行ってみよう!
衣装:
危険なセーター $3
黄色いシャツ $6
眼鏡 1$
ズボン
小道具:
コントローラー
漫画本
屋外と違って室内での撮影は光の関係でかなり難しい。
眼鏡にほんのりゲーム画面を映すのに苦労した。
次、行ってみよう!
衣装:
水色のポロシャツ $13
紺のズボン
サングラス
道具ベルト
小道具:
配電盤
ドライバー
「私達にお任せ下さい!」
次、行ってみよう!
「危ない人」と「擦れて無い青年」の2本立てでお送りします。
次、行ってみよう!
お父さんは頑張るよ!
次、行ってみよう!
衣装:
帽子
主張しない上着
トラック
「早くしろよ、ったく。」
次、行ってみよう!
「おい、そこ何してる」
以上、撮影初日!
続いて2日目へ
●撮影2日目 撮影者:俺、ナオコ
ロケ地:学校
照明:俺 メイク:俺
衣装:
スクラブ $6
名札 (自作)
「大丈夫。きっと良くなりますよ」
次、行ってみよう!
衣装:
ダウンジャケット
ネックレス(犬用の鎖+ペンダント)
ズボン
緑シャツ $6
小道具:
赤いソファ
「何か用?」
以上2日目終了!
続いて3日目!
●撮影3日目 撮影者:俺、ナオコ
ロケ地:学校、グリフィス公園
照明:俺 メイク:俺
衣装:
スポーツウェア $14
メダル
「ありがとう!みんな本当にありがとう!」
次、行ってみよう!
衣装:
カジュアルなシャツ $12
カーキシャツ $4
カーキズボン
小道具:
バー(ピアノの裏側)
酒瓶たくさん
メキシコ帽
「かんぱーい!」
以上、3日目終了!
・・・疲れた。
衣装や小道具、そしてロケーションを揃える為に
寝不足でフラフラになりながら頑張った。
・・・だが、まだこれだけ残っている。
・サラリーマン
・CEO
・政治家
・弁護士
・記者
・レポーター
・科学者
・マフィア
・ギャンブラー
・殺し屋
・紳士
・富豪
・ウェイター
・シェフ
・店員
・警察
・刑事
次の撮影日は今週の木曜日。
それまでに・・・なんとしても準備を終わらせる!俺は・・・本気だ!!