« 2005年12月14日 | メイン | 2005年12月23日 »

2005年12月20日  演技全般

本気の力!

先週の土曜日、日曜日、月曜日の3日間を使い
過去最大規模のヘッドショット(俳優の顔写真)の撮影を行った。

今回のテーマは  ”「本物」になる事”


俺は今まで、様々な妥協をして来た。

 「ビジネスマンっぽい」「侍のように見える」

・・・だが、今回は違う!

 「ビジネスマンにしか見えない」「侍でしかあり得ない」

という、「完全主義」を貫くつもりだ。


・・・そう、今回の俺はかなり本気だ! やる気は150%くらいだ!


どうしてこんなにも必死なのか、その理由を話しておきたいと思う。


先月、俺のエージェンシーの「インパクト・タレント・グループ」の
オフィスにある1台のパソコンが壊れ、それを俺が直す機会があった。

その時、俺は自分のエージェンシーのオフィスに4時間ばかし居て、
担当のエージェントである「マイク」が
インターネット上でオーディションに応募する様子を眺めていた。


エージェントの応募方法はこうだ。


まず、コンピュータの画面にプロジェクトの概要と募集中の役柄が表示される。


・・・例えば、こんな感じだ。

======================
タイトル:ホニャホニャ大作戦
監督:ポンポコ
プロデューサー:パンパラ
キャスティング:ドンチャン

報酬:SAGの基本報酬
撮影開始:1月12日
2次オーディション期日:12月20日

この映画は低予算のコメディ映画です。
デモテープを含め、ネット経由で応募して下さい。


ホニャ刑事:30~40歳、男、白人。他人を信用する事ができない。
       些細な事ですぐ怒る (主役)

ホニャ婦人:20~27歳、女、白人。ホニャ刑事を常にサポートする
       献身的な妻。責任感が強い。(主役)

アァラ・マア:35~45歳、男、黒人。ホニャ刑事の親友。優しい。(脇役)

モジャモジャ:20~30歳、男、人種指定無し。弁護士 (端役)

======================


ここで、俺のエージェントの「マイク」が
「ホニャ刑事」の役に自分のクライアント(担当俳優)を
応募するプロセスを見てみよう。


マイクはまずクライアントのデータベースに行き、検索窓にこう入力する。

 「30~40歳」「白人」

すると、その条件に合う俳優が30人ほどリストで表示された。

マイクはそのクライアントの一覧を見ながら、
その役に合う役者を選んで行く。

 「ふーむ。この役に・・・・・・クリスは合うな。」

そうして彼はクリスの持っている写真一覧を表示させる。
・・・クリスは3枚の写真を持っていた。

そのうちの一枚が「刑事っぽい」ので、マイクはそれを応募に使った。


・・・同じような方法で、マイクは10人ほどの俳優を「ホニャ刑事」に応募した。


次に、「モジャモジャ弁護士」の役に合う役者を探す

 「さて、モジャモジャには誰を応募しようかな。」

表示された俳優一覧を見ながらマイクは考える。

 「・・・そうだ、ユウキも応募しよう。」

そう言って、マイクは俺の写真一覧を開く。

そこに表示されるのは・・・


マイクは悲しそうに頭を振る。

 「・・・なんて事だ。ユウキはこの役にぴったりなのに、
  弁護士に見える写真が一枚も無い!」

彼は「ユウキ」をこの役に応募する事を諦めた。

・・・エージェントの「応募」には常に責任が伴う。
エージェンシーの看板を俳優に背負わせるわけだから、
いい加減な写真は送る事ができないんだ。


・・・これがどういう意味か分かるだろうか


キャスティングディレクターは当然
応募されたヘッドショットを見て俳優をオーディションに呼ぶわけだが、
そこで「タイプキャスト」という作業を行う。

タイプキャストとは「彼は~~に見えるからオーディションに呼ぼう」
という行為の事だ。


 どんなにその俳優が名優でも、
 募集されている「タイプ」に見えなければ、オーディションには呼ばれない!


俺はこのプロセスを見て・・・ショックを受けた。

・・・だが、同時にある事を悟った。


試しにキャスティング・ディレクターの視点から考えてみよう。


 ・『郵便屋さん』の役を演じてくれる俳優が欲しい


そんな時、自分がキャスティングディレクターだったら、
どんな写真を持った俳優をオーディションに呼びたいだろうか?


・・・暗闇の中で不敵に笑う俳優? ・・・それは無い。

・・・鼻に割り箸を突っ込んだ俳優? ・・・そんな馬鹿な。

・・・明るい笑顔でにこやか笑う俳優? ・・・もしかしたらね。


・・・だが、そんな時、
もし「本当の郵便屋」の写真を持った俳優が居たら・・・?

俺がキャスティング・ディレクターだったら、
「本物」をおざなりにできるだろうか・・・?  俺にはできない!


・・・そうだ。 「本物」になればいいんだ!

「郵便屋」が欲しいなら「郵便屋」の。
「弁護士」が欲しいなら「弁護士」の。
「医者」が欲しいなら「医者」の。

いくつになるか知らんが、ニーズのある分だけ
「本物」のヘッドショットを作ってしまえばいいんじゃないか!

そうすれば・・・、「アジア人だから」という理由で
アジア人専用の役「しか」呼ばれないという現状を打破できるはずだ・・・!


これが、俺の閃きだった。

そして俺はこの撮影に全てを賭ける覚悟をした。


「本物」になる為に必要な物は全て揃える。
完璧な写真を撮ってやるぞ!   ・・・低予算で。


さぁ、もう「おしゃべり」はいい。

結果をご覧頂こう!


●撮影初日 撮影者:カンナさん 
  ロケ地:自宅、グリフィス公園
  照明:俺   メイク:俺


■郵便屋さん


衣装:
水色のシャツ $12
水色のTシャツ $4
紺のズボン $7
靴 $20
サングラス $1
サングラスの紐 $1

小道具:
メール
肩掛け鞄
USPSのバッジ (自作)


・・・「本物」だ!よっしゃぁああああ


次、行ってみよう!


■ホームレス

衣装:
くたびれた白シャツ
くたびれたジャケット
色あせたジーンズ $7

小道具:
毛布
ダンボール
スリッパ
ビニール袋
空パック

散髪前に撮影した画像。
さようならボサボサヘアー・・・


次、行ってみよう!


■整備士


衣装:
紺のYシャツ $6
水色のTシャツ
紺のズボン 
腰の道具入れ $1
帽子 $14

小道具:
俺のトヨタ車!
手に持ってるクリップのような物
道具箱
手袋
禁煙のマーク $1
謎のテープ×2

この帽子は色々と使えそうだ


次、行ってみよう!


■ナード(英語で言うオタク)

衣装:
危険なセーター $3
黄色いシャツ $6
眼鏡 1$
ズボン

小道具:
コントローラー
漫画本

屋外と違って室内での撮影は光の関係でかなり難しい。
眼鏡にほんのりゲーム画面を映すのに苦労した。


次、行ってみよう!


■電気工事士

衣装:
水色のポロシャツ $13
紺のズボン
サングラス
道具ベルト

小道具:
配電盤
ドライバー

「私達にお任せ下さい!」


次、行ってみよう!


■田舎者


「危ない人」と「擦れて無い青年」の2本立てでお送りします。


次、行ってみよう!


■日曜大工


お父さんは頑張るよ!


次、行ってみよう!


■トラックの運転手

衣装:
帽子
主張しない上着
トラック

「早くしろよ、ったく。」


次、行ってみよう!


■パークレンジャー

「おい、そこ何してる」


以上、撮影初日!

続いて2日目へ


●撮影2日目 撮影者:俺、ナオコ 
  ロケ地:学校
  照明:俺   メイク:俺


■外科医・看護師

衣装:
スクラブ $6
名札  (自作)

「大丈夫。きっと良くなりますよ」


次、行ってみよう!


■ヒップホップ

衣装:
ダウンジャケット
ネックレス(犬用の鎖+ペンダント)
ズボン
緑シャツ $6

小道具:
赤いソファ

「何か用?」


以上2日目終了!

続いて3日目!


●撮影3日目 撮影者:俺、ナオコ
  ロケ地:学校、グリフィス公園
  照明:俺   メイク:俺


■代表選手

衣装:
スポーツウェア $14
メダル

「ありがとう!みんな本当にありがとう!」


次、行ってみよう!


■バーのお客・ビール好き

衣装:
カジュアルなシャツ $12
カーキシャツ $4
カーキズボン

小道具:
バー(ピアノの裏側)
酒瓶たくさん
メキシコ帽

「かんぱーい!」


以上、3日目終了!


・・・疲れた。

衣装や小道具、そしてロケーションを揃える為に
寝不足でフラフラになりながら頑張った。

・・・だが、まだこれだけ残っている。


・サラリーマン
・CEO
・政治家
・弁護士
・記者
・レポーター
・科学者
・マフィア
・ギャンブラー
・殺し屋
・紳士
・富豪
・ウェイター
・シェフ
・店員
・警察
・刑事


次の撮影日は今週の木曜日。

それまでに・・・なんとしても準備を終わらせる!俺は・・・本気だ!!

投稿者 ユウキ : 08:18 | コメント (0) | トラックバック

« 2005年12月14日 | メイン | 2005年12月23日 »