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2005年08月27日 オーディション
怒涛の3連戦!
地獄の土曜日がやって来た。
今日の予定としては、朝10時にハリウッドでCMのオーディション。
その後、12時~1時にダウンタウンで映画のオーディション。
最後に1時~4時にロングビーチで映画のオーディション。
会場がそれぞれ離れているので大変だ。
最初のCMの会場はハリウッドにあるCNNビルの4階だった。
俺の演じる役は「サムライ」。エージェントからは
「キャラクターはサムライだけど、
衣装はカジュアルな洋服でいいんだって。」
と言われてたんだけど、
俺はなんとなく着物の方が良いような予感がしたので
前に映画で使った侍風の着物を着て会場入りした。
会場内にはたくさんの日本人、アジア人が居た。
サインインを済ませてしばらく待つと、
キャスティングディレクターに名前を呼ばれた。
オーディション室内には、2人の日本人CM製作関係者が居た。
「マツザキさん、日本語ペラペラです。」
アメリカ人のキャスティングディレクターは流暢な日本語で
俺をCM製作の方達に紹介した。
さて、このCMのオーディションでは、
日本から来る俳優さんが演じる「メリーゴーランドに乗ったサムライ」の
すぐ後ろにいるサムライを探しているらしい。
簡単な自己紹介の後、色々と日本語で質問された。
「お名前をよろしくお願いします」
「松崎悠希です。」
「松崎さん、それは天然パーマですか?」
「そうです。」
「武道の経験はありますか?」
「柔道をやっていました。」
「段位をお持ちですか?」
「いえ、段位は持っていません。」
「おいくつですか?」
「23歳です。」
「えーと、360度回転して頂けますか?」
「縦ですか?」
「いや、横です(笑) 面白い方ですね。」
「松崎さん、もしも出演が決定した場合、
ヅラに入りきらない部分の髪の毛を少し切ってもいいですか?」
「問題ありません。」
「では、今からその場でメリーゴーランドに乗っていると仮定して、
戦の後で勝ち得た平和を噛み締めながら笑っているという設定で、
・・・笑ってみて下さい。」
・・・およそ20秒間くらい、
俺は言われるままに空想上のメリーゴーランドに乗って笑っていた。
随分と長く感じた。
「・・・はい、ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
さあ、次のオーディション会場へ向かおう!
~~~~
次のオーディション会場はUSC(南カリフォルニア大学)だ。
現在の時刻は11時40分。
まだ少し時間があるので車のオイル交換をしてしまおう。
行きすがらMobilのサービスステーションがあったので、
そこでオイル交換を頼んだ。
半年以上交換して無かったのでエンジンオイルは真っ黒だった。
~~~~
さぁ、オイルも新しくなったので、張り切ってオーディションへ行こう!
現在の時刻は・・・12時20分。
・・・やべえええええええええええええっっ!!
このままでは遅れてしまう!
俺は「安全に」、「スムーズに」、「法定速度を守って」、
「急いで」運転すると南カリフォルニア大学へ向かった。
着いたのは・・・12時50分。
・・・何とか間に合った。
会場入りしてサインインすると、見慣れた顔に出会った。
映画「オンリー・ザ・ブレイブ」で同じく日系人兵士を演じた
デリック(ゴーストというあだ名)だった。
そこでオーディションを待つ間、デリックから衝撃の事実を聞いた。
デリック「ユウキ、どうして映画の試写会に来なかったんだい?」
ユウキ「え?試写会があったの?」
デリック「あったよ、この前。カートとユウキだけ見当たらなかったけど。」
ユウキ「・・・おかしいなぁ。」
試写会の事なんて、俺には一言も知らされて無かった。
ユウキ「・・・映画内で、俺のシーンまだあった?」
デリック「・・・いや、待てよ・・・、無かったかなぁ。確かカートも無かったよ。」
ユウキ「・・・げ、カット・・・されたのか。」
デリック「ユウキはデカ過ぎるから目立つし、
カートは歳を食い過ぎてて目立つからじゃないかなぁ。」
・・・なんてこった。
「主要エキストラ」に選ばれたのに、映画ではカットされてしまった。
「デカ過ぎる俺」をキャストしたのは向こうなんだがなぁ・・・
ちょっとショックを受けたが、これは「良くある事」なので驚かない。
撮影に参加したのに完成版には登場しなかったという話は頻繁に聞く。
伝え聞いた話では、
ラストサムライに出演した脇役の日本人女性達のセリフは
「何らかの理由」で全てカットされたらしい。
・・・彼女達の気持ちを考えれば、俺のショックなど何でも無い。
俺は目の前にある台本に集中する事にした。
やがて名前が呼ばれ、俺はオーディション室内へと通された。
監督は若い男性だった。
たぶん南カリフォルニア大学の生徒だろう。
学生なのにお金を払って俳優を雇うなんて、頑張るなぁ・・・
さて、俺の演じる役だが、これまた俺の「デカさ」がネックになった。
「身長175センチ以下」と台本にしっかり書かれている。
一応頑張ったが、まぁ、駄目だろう。
気持ちを切り替えて、次のオーディションへ向かおう!
~~~~
次はロングビーチにあるCSU(カリフォルニア州立大学)だ。
車を南に走らせる事、約1時間。
巨大な大学キャンパスへと辿り着いた。
サインインを済ませると、監督が俺を呼んだ。
室内に居たのは「グレッグ」、「マット(1)」、「マット(2)」、「ローレン」の4人。
まずは俺が持参したデモテープを鑑賞した。
それから、監督と台本を読み始めた。
この台本は2部構成になっていて、
「現実世界」と「ファンタジー世界」に分かれている。
俺の役は「封筒の開封係」。
現実世界ではオフィスで働いている。
俺が台本を読んだ限りでは・・・、
ファンタジー世界で求められているのは、
「現実味の無いコメディ演技」では無いだろうか。
そう思った俺は、2つの全く異なる演技をする事にした。
現実世界では、「凄く自然で、40%くらいの演技」
ファンタジーは、「凄く不自然で、150%くらいの演技」
するとこれが大ウケ、大好評だった!
監督「そう!そうなんだよ!
ファンタジーの世界ではアホみたいな演技をして欲しかったんだけど、
誰もそれを理解してくれないんだ!
みんな真面目にセリフを読んでしまう。でもそうじゃないんだ!」
監督も随分とご機嫌だ。
コールバック(2次選考)は2週間後らしい。
俺のコメディ魂は伝わっただろうか・・・?